第16話

図書室で2人きり【侑×北】
1,501
2024/04/14 00:56
侑side


ある日の日曜の夕方


今日は珍しく部活がオフだ。なのに……なのに………
何で俺は学校に来んとあかんねん!!!
それは、明日提出の課題をやるためだ。
北さんにあんだけ課題のこと言われとったのに、やってへんとか、北さんにバレたらやばいからな。
さすがに5時やし、休みの日やし、人もおらんやろ!

ガラッ(ドアを開ける)
失礼します〜


シーン
めっちゃ静かやな。図書室やから当たり前か
やっぱり、もう夕方やし、人もおらん………
!!
部屋の辺りを見回すと窓際で壁にもたれかかって立っている人の姿を見つけた。









その人は、少し怖い時もあるけど、思いやりがあって優しくて、俺の大好きな片思いの人だ。







北さん?
え、何でここにおるん?いや、もしかしたら人違いかもしれん。入口からだと、顔まではよく見えんからな。
スタスタ(近寄る)
……北さんや
北さんは、腕を組んで、目を閉じている。
寝とるんか?
北さん、俺が入ってきたのにも気づかないくらい寝てるやんけ。珍しいな。


夕陽に照らされた肌は透明感があって、ふせられたまつ毛は羽のように長い。
北さん……起きないんですか?
きっと返事なんて返ってこないとわかっていながら、問いかけてみた。
はぁ…………北さん…
隙だらけすぎや…………




もう我慢できん…………………。











チュ



ん……………
あ……………
やってもうた…………。俺何してんねん。キスしてまうとか………でも、北さんが隙だらけなのが悪いんや。
……………侑か?
は、はい//
なんや、距離近いな
す、すんません///

それはさっきキスしたからや……。
それより、侑。何でここにおるんや?
いや、えっと……
まぁええわ。でももう日暮れるし、はよ帰り。俺も気づいたら寝とってこんな時間になっとったからもう帰るで。

キスのこと気づいてへん?……てか、北さんは俺が距離近くても、冷静で、何も意識してくれんのやな。俺のことなんか眼中にないゆうことか……。
……………………っ

ドンッ(壁ドン)
?!
何や……?
北さんが歩きだそうとしてたのに、俺は、進行方向の壁に手をついて、その動きを止めた。
まだ帰したないです
何言うてんねん
北さん。俺のこと、少しは意識してくださいよ。






チュ






ん………………
北さん。こんな誰もおらん時間に、密室で2人きりとか、何か起こると思わんのですか?

そんなこと聞いても、きっと遊びだと思われて冷静に対応されるんやろな。
…………
北さん?
そんなこと、予想出来るわけないやろ////
そう言って、北さんは顔を片腕で隠した。


え、北さん顔真っ赤や。照れとるんか?
そんなん反則やろ………。
ガシッ  トンッ


北さんが顔を隠していた腕を掴んで、壁に当てた。


北さんの照れ顔丸見えや♡
俺、北さんのことが好きです



チュ クチュックチュチュッ♡
んッ…///はぁッ、//…んッ/////
返事を聞く前に、俺は北さんの口を塞いだ。
北さんの返事次第では、もうこんなこと出来なくなるから。
…ッ北さん、すんません
きっと困るやろな。後輩にこんなことされたら。
何で謝るんや。
北さんに迷惑やと思うし…
そんなこと言うてへんやろ?
俺も、侑のこと好きやから、迷惑やない……
え?
好きって………今北さん好きって言うた?
ほんまですか?
そうや//
嘘やろ。夢見たいや。
北さんは、俺のこと眼中にないと思ってました
そんなことないわ。さっき起きた時に、目の前に侑がおって、驚いたんやから//
動揺隠せてるか心配やったんやで////
そうなんですか?!
全然気づけへんかった。北さん、俺のこと見てくれてたんや。良かったわ。
北さん。キスしてもええですか?
ええよ。





チュ





大好きな人とのキス。お互い想いあっていた事がわかって本当に嬉しい。
俺、今日ここへ来て良かったな。そう心から思った。











おまけ


図書室から寮へ戻った時のお話
ただいま〜!
なんや嬉しそうやな
あ〜!わかる?!
気持ち悪いな
うっさいわ!
課題は終わったんか?
は?課題?
何アホ面してんねん。ツム課題やりに行ったんやろ?
あ!!!!忘れとったーー!!!!!
何してんねん
どないしよどないしよ
北さんにバレたらどやされるな
侑にとって、北さんと過ごした時間は、本来の目的を忘れるほど幸せなものなのであったのだ。



次の日、課題を忘れた侑は、先生と北さんに怒られたとさ。





プリ小説オーディオドラマ