それは、少し前のこと
僕が記憶を取り戻した時の話
軽い気持ちで立ち寄ったその神社に
突然現れた少し背の高い彼は
稲荷の像に腰上をかけ僕にそう問いた
あまりに当たり前の質問に思わず即答する
初めましての印象は勿論 変な人 だった
”面倒なことになりそう“
なんとなく、そう思い
僕はお参りをやめて急いで賽銭箱と反対方向に歩いた
神社を出ようとする僕を慌てて追いかけてくるその変な男は
まるで神が着ているかのような大層な和服をはためかせながら
えっほえっほとこちらに向かってくる
追いつかれる前に神社の外にでた僕は
彼がどこにいるか確認するため、後ろを向いた
ぽんっと肩に手を置かれ
こちらをみてニヤリと笑う
僕の今世は、そこから大きく変わった
クスクスと愉快そうに笑う青龍様とは別に
私と玄武様はただただ困惑していた
昔と変わらない
最も古き四神であり、最も若き四神
その深淵はどこまでも謎で
かと思えば時折驚くほどフラットで
朱雀様とはまた違った不思議な人
ヒソヒソと僕に聞こえぬよう何かを話す彼らを横目に
机の下でそっとスマホを操作する
「がっくん、僕 思い出した」
送った瞬間、すぐに既読がつき
「おめでとうございます!!!」
と返事が来る
それは あまりに単純で だけど1番しっくりくる言葉
「今日の夜、貴方の神社に伺います」
僕は彼にそれだけ送って スマホの電源を切った
残り1人の記憶を思い出していない四神
唯一 記憶へ干渉出来ていない神
彼がどこまで覚えているのかは知らないが
もしも“あの”あなたの記憶を持っているのなら
いやきっと大丈夫
あなたには僕がいるから











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。