最近、依降が叫ぶことが増えた。それに、体調もあまり良くない。ないくんに聞いても、依降に直接聞いても「大丈夫」で済まされる。きっと何かあるんだって確信した。
「俺の病気が再発した。」
成枯にそう言われた時、俺は頭が真っ白になった。再発?病気…?今まで普通に元気やったのに……?もう訳が分からん。医者には「1ヶ月以内に入院しないと君の命はない」なんて言われたけど…
成枯には「早くあなたに伝えろ」って急かされとるけど、伝えたらきっとあなたは心配する。だから簡単に伝えられるわけが無い。
これでやっと…やっと!!
あなたはまろから解放される…あなたは…俺を見てくれる…!
今回の病気の再発は依降の血液が足りなかったことが原因。つまりは俺のせい。初めはすごく申し訳ないって思ってた。俺のせいで依降は死ぬのかもしれない、考えただけで涙が出そうになった。
けど……
これでやっと本当に愛してもらえるかもしれない。純粋な愛がもらえるかもしれない…そう考えただけで胸が踊る。最低なことくらいわかってる、でも…それでも……!
依降がずっと私に見せないようにしていた日記、最近依降不安定だし…そう思って覗いてしまった。そこに書かれていたのは……
その文字を見た瞬間、今までの何気ない日常が頭に浮かんだ。
成枯くんの許可出てないからダメ、疲れてるからもうおしまい、依降に言った記憶のある言葉が頭の中を巡る。
私の目に入った1つの文。
【入院して治療をすれば助かるかもしれない。】
これを見た瞬間、私は思った。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。