まちこりーたside
ふと目を覚ます。
昔の出来事の夢を見ていた。
もう、「昔のこと」なのに隣で寝る彼がまだ好きだ。
明け方の優しい太陽がそっと窓から入ってくる。
近くに太陽はあるはずなのに、何故だかとても虚しくて、この気持ちは誰にもわからないだろうと思う。
ベランダのカーテンはそっと風を吹かす。
それを見る度、私は何が間違っていて、何が正解なのか分からなくなる。
ただ私がせんせーを苦しめた、という事実と罪悪感は消えなかった。
あの時、未練を残したまま別れなければよかった、とどれだけ思っただろう。
だから、私は今の状態を嫌だと思っていない。
ニキニキやじゅうはちは私を心配してくれたけど、そんな心配はいらない。
目を覚ました彼の深い色の髪の毛を撫でる。
そうやって声をかけても彼からは応答がない。
きっと、太陽が昇ったことをわからないからだ。
いいよ。
それでいいの。
私はせんせーのために歌うから。
ずっと歌うから。
だから大丈夫。
私は自分の腕にできた痣をそっと隠して、大切なあなたのためにまた歌い始めた。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。