第13話

10、醒めることのない愛で君を
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2024/09/07 07:40 更新
しろせんせーside





彼女の歌声を聴いて過ごす。




その生活を始めてどのくらい経っただろう?





彼女は“何か”をとっくに諦めたように歌い続けた。



「明けない夜はないと」





そして時間は



彼女の歌声に沿って流れた。

  







起きる時間、寝る時間、



当たり前のように続いていた。




いつのまえにか彼女の歌声は





ただ俺の生きるエネルギーでしかなくなって






隣にいる彼女は俺の生きるためにいる利用されている人、となった。





“目を醒ませ!ボビー!”




あの日のニキの言葉がまだ俺の頭に残る。




俺は……おかしいのだろうか

 



いや、そんなことはどうでもいい



もうどうでも良くなったのだ。



俺の人生も




ニキのことも




ニキだけでなくかつて共に笑い合った彼らのことも




俺が生きている意味さえも





すべてがどうでも良くなった。






だから彼女の歌を聴いているのだろう





俺がどうでも良くなった、といった大切なものを取り返すために。







そんな俺はようやく気づく





俺は彼女の幸せを奪っていることに





昔の彼女の幸せを願っていた優しい〝俺〟はいないことに







罪悪感とこの世界の醜さに絶望した涙は俺の頬を伝う。




彼女はその雫を拭う。






そして愛しそうに俺を見て抱きしめる。











しろせんせー
ごめんっ………ほんとうにっ………
まちこりーた
大丈夫だよ…泣かないで…………




彼女はぽんぽんと冷たい世界とは正反対の温かい手で優しく俺の頭を叩く。



彼女の優しさにやっぱり涙は止まることを知らない。



そんな俺に彼女は言った。





まちこりーた
例えせんせーが私のことを忘れても
まちこりーた
私はせんせーのこと忘れないよ………
まちこりーた
ずっと待ち続けるからっ………




騒がしい世界に背を向けて





自暴自棄になった静かな俺の世界人生では





やっぱり彼女の歌声が響いていた。




「明けない夜はない」と











1章fin



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