次の日、私は7時に目が覚めた。
どうしても学校に行こうと思うと体が重くなる。
お母さんに頼んで学校に電話を入れて貰い、今日も休んだ。
ボーッとテレビを見ていた午前9時半頃。
家の電話が鳴った。
プルルルルプルルルル
のそりと動いて受話器をとる。
名乗らずとも声だけでわかる。
……三国さんだ。
今、『解決した』と聞こえたけど聞き間違いか?
嘘…もう解決したの……
やっぱり偽りなしだったね。
***
自転車を飛ばしてきた私は肩で浅い呼吸を繰り返しながら到着した。
息も途切れ途切れにそう尋ねた。
周りには、仁色さんや、古書店の店長、そして私が見たことのない小柄な女性。
めいいっぱい含みをもたせてこう言った。
ニッと彼女は怪しく口元を歪めた。
『この3人には事前に事情聴取をしている』
そう言った。そして、
ふふっと三国さんは笑った。
"君は、藤見 奏を取られたくなかった。"
"当たり前だよな"
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。