第19話

70
2021/01/28 11:19
私は約10日間ぶりに学校に行った。

私の友だちや彼氏、先生や先輩。
みんなとても心配してくれたけど、
『大丈夫、ありがとう』
無理して笑うことしかできなかった。

こんなにいい人たちばかりなのに、ろくに感謝できず、ずっと塞ぎ込んだままだった。
いつも、学校ではうるさいくらいだった私がこの黙りようだ。

『やっぱり、今日早退する?』
友だちにそう言われた。
『まだ、癒えてないでしょ?無理しないで。
授業のノートちゃんと送るから』

その言葉に涙が出てきた。
こんな情緒不安定な私を見られたくなくて、涙を手の甲で拭いた。
『ごめん。今日は帰るね……ありがとう』
友だちが先生に言っておいてくれ、正門の前まで送ってくれた。

ありがとう

それだけ言って私は、2時間目で早退した。




***



帰ってからは、お姉ちゃんがくれた本を読んでいた。
ほのぼのとした内容に少し救われる。
もとは小学校高学年用の本だからすぐに読み終わった。


何もする気力はなかったが、フラフラとお姉ちゃんの部屋に行った。
勉強机の上には、開いたままの英語のノートに私がプレゼントしたペンケース。
そして、ノートにはお姉ちゃんの癖のある字。

私は指で文字をつつっとなぞった。

帰ってきてから少し勉強してたんだろうな。
そこには授業の内容が書いてあった。

そして、目線をふと横にそらすとあの本───群青の星 があった。


手にとってパラパラとめくる。

お姉ちゃんは、もう読んだのかな…。
私も、読んでいいかな?

お姉ちゃん。
読んでなかったらごめん。
少し借りるね。





***

本の最後のページにはシリーズ一覧が書いてあった。

1.蒼い月
2.ふたご座流星群
3.孔雀劇
4.遙か先のキミへ
5.春風症候群
6.群青の星
7.意味を探して
8.Coming Soon...









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