××××年、××月××日。
全てを飲み込むように暗い夜空に、「自分が1番だ」と言わんばかりに光り輝く数多の星々が美しく、自身を魅せる上手さに嫉妬さえ覚えた。
今日はあなたの下の名前のみの16歳の誕生日だった。
親と離れてから約6年。離れたというよりは捨てられた、に近しかったな……と思い出した。親と過ごした10年間、親から愛情を注がれた記憶が無かったからだ。
一人で虚しい気持ちになり、気を紛らわすために夜空を見上げたが更に虚しくなってしまった。
『 はぁ …… 』
溜息を着いて、座っていたオークの切り株から軽やかに立ち上がった。両手を組み上に向けて、思いっきり伸びをした後、ぽてぽてと街の方へ歩き始めた。
5分ほど歩いてから気づいたが、家とは逆の方向に街があるんだった。……まあいい。気分転換も兼ねて、少しだけ街で遊んでいこう。
______あなたの下の名前のみ side______
いつも食べ物などの生活必需品を購入したり、遊んだりしている街についた。夜のためいつもよりも活気はないが、それでもやはり街は光に満ちていた。
「 ん?おぉ、あなたの下の名前のみくんやないか!! 」
肉屋のおっちゃんに声を掛けられた。丁度店を閉めようとシャッターを下げようとしていた所だったらしい。
『 あっ、店主。おつかれーす 』
「 こんな時間に一人でどうしたんや?最近フェインド帝国と我々国が戦争1歩手前まで向かうとるせいで誘拐とか犯罪とか増えとるらしいから、あなたの下の名前のみくんも気ィつけや?アンタも若いんだし…… 」
おっちゃんは心配そうに言いながら、シャッターを閉め、シャッター前に“閉店中”と書かれた看板を置いた。その後、俺の方を向き直した。
「 噂やからアレやけど、1週間前にこの街でも初めて誘拐事件が発生したらしいからな……。警戒してて損は無いと思うで? 」
『 八百屋の兄貴も言うてたわ、同じような事。まー俺は大丈夫すよ。多分。男だし。 』
「 多分って……、いっちゃん信用でけへんやつやんけ!!!しかもイマドキ、男女関係無く狙うやつ多いからな!? 」
おっちゃんはガサガサと何かをしながら、笑って言った。
実際俺は大丈夫だと思う。誘拐されたと言われている子は14歳の女の子だし、俺は一般の奴らよりも戦闘面に長けた固有能力を持っているからだ。
「 これ、ちょっとしかないがサービスでやるよ。いっぱい食って強くなり!! 」
目の前に出されたビニール袋の中には牛、豚、鳥等様々な種類の肉が小分けにされて入っていた。重さから考えて、全体で400g以上だろうか。
『 えっ、店主流石にこんなに貰えへんって 』
そう言って俺は財布を取り出そうとポッケに手を突っ込んだ。おっちゃんは俺の手をポッケから出し、両手で袋を渡してから手を握った。
「 大丈夫大丈夫!!ただただワシが渡したいだけやから!!遠慮せず貰いな!! 」
満面の笑みでグッと親指を立てながら言った。「ワシやってオマケ出来ひんほど貧乏な訳でもないしな!」と付け足して、あなたの下の名前のみの背中をバシッと叩いた。
『 店主 …… 、ほんまありがと。助かるわ! 』
おっちゃんの笑顔に答えるように、俺もニコッとして見せた。おっちゃんは安心したような表情になり、そのまま「じゃあな」と言った為俺は先に進み始めた。
街の中心へ向かうべく歩いていたのだが、安全な道を通った場合、少し遠回りをする事になると気づいた。
自身の身を守る為にゆっくりと向かうか、歩くのが面倒臭いから近道を通る代わりに少しだけ自身を危険に晒すか……。
ふたつの選択肢を天秤に掛けた。その結果、近道をした方がアドバンテージが大きいだろうと感じた。
危なかったら逃げればいい。ただそれだけの事。大丈夫、危なかったら全力でこの道を突っ切ろう。
俺は鼻歌を歌いながら裏道へと向かっていった。
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もうひとつ先まで書こうと思ったのですが、字数が増えすぎる気がしたので分けさせてください……!!
申し訳ないです、次回からはメンバーさん出てくると思います……!!












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!