ジュヨンsaid
いつも生きる意味を探している。
今、闘いの中で死んだとしても何も苦じゃないだろう。
いっそう死んだ方が楽なのに。
なんで俺は何をやっても死ねないんだ。
どんな大きな怪我をしても自殺しようとしても殺されそうになるくらいボコボコにされても普通の人なら死んでるのに俺は死ねない。
ただ痛さを辛さを感じるだけだ。
ふと昔のことを思い出してしまう時がある。
そんな時思うんだ。
俺は生きてて意味があるのか、何故死ねなかったのか、たった1人家族である母の苦痛の訴えにも気付けず、それでものうのうと1人生き続けるのか?
俺の取り柄はなんだ?ただ闘いに強いだけじゃないか?
そんなことなら早く死んでしまいたい。
仲間の迷惑にはなりたくないし、きっとメンバーみんな迷惑だと思ってるはずだ。
そんなことを考えてしまう。
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物心ついた時から母と2人きりだった。俺たちは小さな古いアパートに暮らしていた。
今日も俺を怒鳴る母の声が俺たち以外誰もいないアパートに響き渡る。
どうやら母は俺に死んで欲しいらしい。
俺もこんなに辛い人生なら早く死んでしまいたい。
母もこんなに願ってるのに…
じゃ、なんで俺は死なないのか?
それは俺が何をしても"死ねない"からだ。
"死なない"んじゃない。"死ねない"んだ。
母の俺に対する虐待は俺が2.3歳頃から始まった。
虐待?正確には、殺そうとしていた、と言った方がいいかもしれない。
ある日いきなり首を絞められた。
気を失ったものの死なず、なかなか死なない俺が恐ろしくなったのか母は早く殺そうと浴槽に沈めたり、色々なやり方で殺そうとしたらしい。
でも、死ぬことはなく、酷い時は包丁で滅多刺しにされた。
小さい頃はわけも分からずただ痛さと辛さに耐えるしか無かった。
痛さは感じるのに絶対に死ねない。
俺は"普通"の人のように幼稚園や学校にも通わせて貰えず、ぼろアパートの部屋の奥にある真っ暗な押し入れに足枷と鎖で繋がれ、一日中入れられ、母が夜中に帰ってきてはストレス発散の道具のように暴力を振るわれるこれが俺の毎日であり日課だった。
俺が13くらいになった時、母が死んだ。
心中を図った。
でもその時俺は初めて気づいた。
母の本当の思い、今までの事を全部……、
母は借金まみれで子供の俺にろくに食事も与えず、夜まで遊び回る最低な女だと思っていた。
でも、違った、
母は最後に俺を今までなく優しく抱き締めて言った。
その時初めて母の涙を見た。
血だらけで俺をしっかり抱き締めた。
こんなこと初めてだったからどうしたらいいのか分からない。
その間にも母は冷たくなっていった。
しばらくすると警察が家に来て、俺は保護された。
施設に入ることになった。
俺は人との接し方を知らないからずっと1人だった。
そもそも話し方も分からないから話せないのだ。
施設に入ってしばらく経つと虐められるようになった。
同じ施設の奴らから笑わない、人間味がない、親に捨てられてここに来たなどなど……
いろいろ言われ、暴力までするようになった。
でも俺は殴られる、蹴られるなど日常茶飯事だったら何も感じない。
ある日、
そう言われた。俺は今まで指示に従うことしかしてこなかった。
指示に従わないと、またやられるから。
だからそいつの首を片手で掴んで手に力を込めた。
自分から締めろと言ってきたくせに苦しそうにもがいている。
俺は頭に???を浮かべながらもっと強く締めてみた。
顔に血が上り、顔が赤くなっている。
こんな事されて嬉しいのかな?
首締めるなんて苦しい以外ない気がするんだけど、首絞めは"普通"の世界では"普通"のことなのか?
そんなことを考えていると、ドンっと体当たりされた。
その反動で地面に転がった。
首を絞めていたやつの方に目をやると、施設の先生達が必死に心肺蘇生やら、電話したりやら、忙しそうにしていた。
そして1人の先生が俺の方へ近付いてきて
パチンっ!
右頬に鋭い痛みが走った。
なんで叩かれた?
俺は悪いことした?
分からない。分からない。
なんでそんなに怒るんだ、?
こいつが締めろって言ったのに、俺はそれに従ってやっただけなのに。
なんで怒られるの?
母といた時は指示に従ってればよかった。
ストレス発散の道具にはなってたけど、言うことを聞いてればそこ以外で暴力や怒られることは無かった。
その出来事があってから俺はもっとバケモノ扱いされて、施設に居ずらくなった。
オンマといた方が楽だったな、
そう思うようになっていた。
だから俺は施設を出ることにした。簡単には出られないから夜動く。
夜~
皆が寝静まったあと1人で施設の事務所へ向かった。
当然鍵は掛かっていたけど、グッと力を入れて奥に押せば簡単に開いた。
そして中へ入って暗い中必死に母が残してくれた通帳を探し出した。
みんなの貴重品が入っているファイルは金庫に保存されてあったけどそれも素手でちょっと力を加えれば壊れてくれた。
自分のファイルの中を見ると、通帳と共に鍵と血で少し汚れた手帳が入っていた。
鍵と手帳が誰のものなんかすぐにわかった。
俺が繋がれていた鎖の鍵と、母の手帳だ。
俺は初めて手帳の中身を見た。
俺はそれを読んで全ての真実を知るようになる。
手帳には毎日欠かさずその日の出来事が綴られていた。
"7/7 今日もジュヨナを殴った。自分の息子を痛めつけたくなんかないのに。なんでこんなことまでして私は生きているのか、ジュヨナが話せないのも、怯えてるのも全部全部私のせいなのに。明日が来るのが怖い。"
"8/3 今日も殴らなきゃ、あの人に、殺られちゃ、う、怖い怖い怖い。ジュヨナを殴れば喜んなで貰える。殴らなきゃ蹴らなきゃストレス発散しなきゃ、"
"9/14 いつの間にか滅多刺しにしてた、息子を。血だらけで倒れてる。やだ死んじゃダメ、私の私の大切な1人の息子なのに。でも病院に相談したら警察に相談したら虐待バレる。あの人達にも殺される。だめだめだめ、"
そして前日のを読んだ。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。