暇72side
そういえば、と思い出した
昨日の夜中、確かに思い出した
あれは夢じゃなかったはず
「母さんとの面会を、もう3度も蹴ってる」
会いたくなかった
先生は、別にいいよって笑顔だった
こさめは、なつくんと遊ぶ時間が増えたとか言って喜んでた
俺は、複雑な気持ちだった
会わないといけない事、わかってる
母さんは心配している事
それくらいに、愛している事も
きっと、本当なんだって
俺が愛されてなかったとかいうのは、ただの作り話なんだって
大丈夫、自分の中でちゃんと理解はしてる
けど…
君には、バレてしまう
俺の本当の姿を知ってしまったら、君は悲しむよね
わかってるってば
あーあ、早く死にたいなぁ
無かった事にしたいなぁ
こさめと一緒にいるのが、申し訳ないんだ
俺の本当の姿は、弱くて、小さくて
本っ当に、どうでもいいよ
本当の事を打ち明けた日、俺は世界で1番みっともなく泣いた
そんな俺を、こさめはずっと支えていた
こさめが窓を開けて、風が入ってきた
風が入ってくる病室は、変な空気だった
換気をし始めてもう何分かたつが、空気感は変わらなかった
小指を絡める
その日に、しようか
初めて、人間というものを好きになった事を、初めて誰かに伝えようと思った












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!