第54話

#53 一緒にいたい
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2026/05/22 13:00 更新








約束をした。



未来の話を、

まだ少し早いはずの言葉で。



それでも、

不思議と現実味があった。



指に残る感触と、

首元で揺れるネックレスが、

ちゃんと“続き”を

示していたから。



___そのまま、

俺たちは並んで歩いていた。

向かうのは、先輩の実家。



v「……なあ、ジョングク」



隣から、声。



jk「はい?」

v「テヒョンって呼んで?」



一瞬、

足が止まりそうになる。



jk「……え」

v「あと、タメ口」



さらっと言う。



jk「今さらですか」



思わず出た言葉に、

先輩___

いや、テヒョンが小さく笑う。



v「今さらだな」

jk「……無理ですよ」

v「慣れろよ」



軽く肩をぶつけられる。

その距離が、少しだけ近い。



jk「……テヒョン」



恐る恐る、呼んでみる。

その名前。

ずっと“先輩”だった人。



呼び方が変わるだけで、

こんなにも

距離が変わるなんて。



v「ん」



短い返事。



でも、その声が

少し柔らかい気がして。



jk「……これでいい?」

v「いい」



即答。

それが、少し嬉しい。



歩きながら、

少しずつ言葉も崩れていく。

ぎこちないけど、

確実に、変わっていく。



……こうやって、

関係って、

形を変えていくのかもしれない。



やがて、見えてくる。

テヒョンの家。

門の前で、一瞬息を飲む。



……でかい。

というか、

想像以上。



jk「……ここ?」

v「うん」



軽く言う。



“うん”、じゃないくらい、

スケールがおかしい。



中に入る。



整えられた庭、静かな空気、

全部が“違う世界”みたいで。



玄関をくぐると、

すぐに人の気配。



「いらっしゃい」



優しい声。

顔を上げると、

テヒョンの両親。



穏やかに笑っている。



「ジョングクくん?」

jk「……は、はい」



少し緊張して

返事をする。



「よく来てくれたね」



その言葉に、

少しだけ肩の力が抜ける。



……あ、優しい。

想像してたのと違う。

もっと、厳しい感じかと思ってた。



でも、

その空気は、

あたたかかった。



リビングに通される。

広い。

全部が整ってる。

そして、ふと思う。



……あれ。

……これ、普通じゃない。



じわじわと理解する。



……御曹司、じゃん。



遅れて実感する現実。



テヒョンが、

とんでもないところの

人だってこと。



……俺、ここに、

……入るの?



胸が少しざわつく。



不安が、静かに広がる。

無意識に、

表情に出ていたのかもしれない。



隣から、手が触れる。

そっと、握られる。



v「……ジョングク」



名前を呼ばれる。

顔を上げる。



テヒョンが、

まっすぐ見ている。



v「……身分関係なく、
 一緒にいたいんだ」



短い言葉。

でも、

それだけで十分だった。




肩書きも、家も、環境も、

全部関係なくなるくらい、

その一言は、まっすぐだった。



jk「……うん」



小さく頷く。

不安が、少しだけ溶ける。



その様子を見ていたのか、

テヒョンの母親が、

ふっと笑う。



v母「テヒョン、変わったわね」



その言葉に、

思わず首を傾げる。



jk「……え?」



テヒョンは

少しだけ照れたように笑って、



v「ジョングクが
 変えてくれたんです。」



さらっと言う。



……またそういうこと言う。



でも、

その言葉は、

嘘じゃない気がした。

前のテヒョンを、

俺は全部知ってるわけじゃない。



でも、

今、隣にいるこの人は、

確かに、やわらかくて、

あたたかくて、

ちゃんと、

誰かを大切にできる人だった。



窓の外、

冬の空は澄んでいて。

その下で、

俺たちは、少しずつ、

同じ未来に近づいていく。



まだ不安もある。

まだ足りないものもある。

それでも、

“一緒にいたい”という

気持ちだけは、

きっと、揺れない。








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