12月25日。
街は、
どこもかしこもクリスマス。
駅前のイルミネーションは、
眩しいくらいに光っていて、
カップルとか、家族とか、友達とか、
いろんな人が笑ってる。
その中で、
俺はひとり。
ポケットに手を入れて、
ぼんやりと光を見ていた。
……先輩。
ネックレスに触れる。
100日記念日にもらった、
ペアのネックレス。
冷たい金属の感触が、
少しだけ現実を引き戻す。
…もう、
終わってるはずだよな。
受験。
合否。
全部。
なのに、
連絡が、ない。
……落ちた、とか
考えたくないのに、
勝手に浮かんでくる。
jk「……いや」
小さく首を振る。
…先輩だぞ。
あの人が、
そんな簡単に負けるわけない。
わかってる。
でも、じゃあ、なんで…。
会えないまま、
連絡もないまま、
クリスマス。
ネックレスを
ぎゅっと握る。
jk「……なにしてるんですか。」
少しだけ、声が震える。
そのとき。
「お兄さん、1人?」
後ろから、軽い声。
「一緒にどこか行かない?」
ナンパみたいな、
軽い言い方。
……は?
少しイラッとして振り向く。
そして、
固まる。
jk「……っ」
そこにいたのは、
ずっと会いたかった人。
jk「……先輩」
名前を呼ぶ前に、
体が動いてた。
勢いよく、抱きつく。
jk「……っ、先輩……!」
ぎゅっと掴む。
離したくなくて。
jk「……遅いです……」
声が震える。
安心したのか、
不安がほどけたのか、
わからない。
ただ、
涙が出そうになる。
先輩は、
少しだけ驚いたあと、
優しく抱き返してくる。
v「……ごめん」
小さく言ってから、
少し体を離す。
そして、
俺の顔をちゃんと見て、
v「……内部進学、合格したよ」
その一言。
世界が、
一気に明るくなる。
jk「……え」
v「ジョングクのおかげ」
静かに、
でもはっきり言う。
jk「……っ」
涙が、こぼれる。
止めようとしても、
無理だった。
jk「……よかった……」
それしか言えない。
本当に、心の底から。
jk「……よかったです……」
泣きながら笑う。
先輩が少し困ったように笑う。
v「……泣きすぎ」
jk「だって……」
言葉にならない。
でも、
ちゃんと
伝わってる気がする。
そのとき、
先輩が名前を呼ぶ。
v「ジョングク」
jk「……はい」
顔を上げる。
次の瞬間。
先輩が、
俺の目の前で、
膝をつく。
jk「……え?」
思考が止まる。
ポケットから、
小さな箱を取り出す。
パカッ、____
中には、
光るリング。
さっきの
イルミネーションなんかより、
ずっと強く、目に入る。
jk「……っ、なに、これ」
混乱する。
理解が追いつかない。
先輩は、
まっすぐ俺を見て、
v「結婚してください」
静かに、言う。
……え?
一瞬、音が消える。
周りのざわめきも、光も、
全部遠くなる。
ただ、
目の前の人だけが、
はっきり見える。
jk「……せ、先輩」
声が震える。
jk「これ……」
v「プロポーズ」
あっさり言う。
……っ、また…
頭が真っ白になる。
でも、
前と違う。
今度は、
逃げ場がないくらい、
ちゃんとしたもの。
jk「……まだ、高校生ですよ」
やっと出た言葉。
先輩は少し笑う。
v「知ってる」
jk「じゃあ……」
v「でも」
言葉を遮る。
v「前言っただろ」
少しだけ優しくなる声。
v「離すつもり、ないって」
あの日の言葉。
重なる。
v「今すぐじゃなくていい」
ゆっくり、言う。
v「将来の予約、ってことで」
冗談っぽく言うのに、
目は、全然冗談じゃない。
v「……だから」
少しだけ、息を吸って、
v「俺と、一緒にいて」
その言葉に、
胸がぎゅっとなる。
涙が、また溢れる。
jk「……っ」
言葉が出ない。
でも、
答えは決まってる。
jk「……はい」
やっと出せた声。
jk「……お願いします」
小さく、でも確かに。
先輩が、
ほっとしたみたいに笑う。
指に、
リングが通される。
少しだけ大きいそれが、
やけにリアルで。
v「……似合ってる」
そう言われて、
また泣きそうになる。
イルミネーションの
光の中で、
俺は思う。
先輩の合否よりも、
たぶん、それ以上に、
嬉しかったこと。
それはきっと、
この人が、
俺の未来に、
ちゃんといるって、
証明されたことだった。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。