第38話

#37 借り物競走
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2026/05/06 13:00 更新





応急処置が終わって、

足にはしっかり

テーピングが巻かれていた。



湿布のひんやりした感覚と、

じんわり残る痛み。



v「歩ける?」



隣で、

テヒョン先輩が

聞いてくる。



jk「……まあ、一応」



少し足を引きずりながら、

グラウンドに戻る。



さっきまでの熱気が

まだ残っていて、

空気が少し重たい。



v「無理すんなよ」

jk「はい」



そう言いながらも、

隣に先輩がいるだけで、

少し安心する。



そのとき、

アナウンスが流れた。



『次の競技は、借り物競走でーす!』

v「あ、俺だ」



先輩がぽつりと言った。



jk「え、出るんですか?」

v「うん」



そう言って、軽く手を振って、

集合場所の方へ行く。



俺はそのまま、

ミンギュたちのいる

日陰へ向かった。



mg「お、ジョングク!足大丈夫か?」

jk「まあまあ」

mg「無理すんなよなー」



そんな会話をしながら、

グラウンドを見る。



テヒョン先輩が、

軽く体を動かして

準備運動していた。



無駄のない動き。



…やっぱかっこいい。



ぼーっと見てしまう。

借り物競走は順番に

走っていく形式で、

先輩は最後のレース。

その番が来るまで、

少し時間がある。



なんとなく、落ち着かない。

やっと、先輩の番が回ってきた。



『よーい、スタート!』



合図と同時に、

先輩が走り出す。



速い。

やっぱり、普通に速い。

中央に置かれた紙を拾う。



その瞬間、

先輩が少しだけ止まって、

紙を見る。



それから、

キョロキョロと周りを見渡した。



……何のお題だろ。



そう思った次の瞬間。

先輩と、目が合った。

一瞬だった。

でも、そのあと、

一直線に、

こっちに走ってきた。



jk「え、」



状況が理解できないまま、

気づいたら__

体が浮いた。



jk「ちょ、先輩!?」



軽々と、

お姫様抱っこされていた。



jk「な、なんで……!」



周りが一気にざわつく。



「きゃーーー!!!」

「え!?何それ!?!?」

「ジョングクくん!?!?」



そのまま、

先輩は俺を抱えたまま走る。



速い。

意味わかんないくらい速い。

そして、そのまま___

1位でゴール。



降ろされる前に、

完全に思考が追いついてなかった。



司会の声が響く。



司会『おーっと!キム・テヒョンくんが
   連れてきたのは……
   チョン・ジョングク氏!!』



ざわざわが

一気に大きくなる。



司会『お題、確認しましょう!』



紙が読み上げられる。



司会『“好きな人”!!』



一瞬、世界が

止まった気がした。



司会『おおー!!
   これは告白ですね!?
   チョン・ジョングク氏、
   告白されてますが!!』



全部の視線が、

こっちに集まる。



何も言えない。

頭が真っ白。



心臓がうるさすぎて、

何も考えられない。



……無理。



そのとき。

隣で、先輩がぽつりと言った。



v『……付き合ってます。』



静かな声。

でも、ちゃんと

マイクに拾われた。



一瞬の沈黙。

そのあと、



「ええええええ!?」

「マジで!?!?」

「やば!!!!」



グラウンドが

爆発したみたいに

騒がしくなる。



女子たちの悲鳴みたいな

声も混ざる。



「テヒョン先輩……!」

「うそでしょ……」

「無理……」



完全に撃沈してるのがわかる。

俺はまだ固まったまま。



隣を見ると、

先輩はいつも通りの顔で立っていた。



でも、少しだけ俺の方を見て、

ほんの少しだけ、笑った。



……もう、隠す気ないんだ。



顔が一気に熱くなる。

恥ずかしいのに、

でも、

ちょっとだけ嬉しいと

思ってる自分がいて。



jk「……先輩」



小さく呼ぶと、



v「なに」



いつも通り返ってくる。



jk「……やりすぎです」



そう言うと、

先輩は少しだけ肩をすくめた。



v「ごめん。でも、
 ちょうどよかったから」

jk「何がですか」

v「公開」



さらっと言う。



……ほんとにこの人、ずるい。

でも、

嫌じゃなかった。

むしろ、

ちゃんと“好きな人”って

言われたことが、

じわじわ嬉しくて、

顔の熱が、なかなか引かなかった。









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