第42話

#41 やらかした?
1,344
2026/05/10 13:00 更新




次の日。



……普通にしよ。



昨日のことは、

頭の奥に押し込んで、

何事もなかったみたいに

過ごすことにした。



今日は空き教室にも行かず、

そのまま自分の教室で、

単語帳を開く。



ミンギュが隣で伸びをしてる。



mg「うわー、無理、英語むり」

jk「ちゃんとやれよ」

mg「ジョングクがやりすぎなんよ」



そんな、

いつも通りの会話。



……うん、普通。



そう思った、そのとき。

ガラッ、とドアが開いた。



「チョン・ジョングク。
 少しいいか」



低い声。

一瞬で空気が変わる。



顔を上げると___

ユンギ先生。



……終わったかも。



昨日の光景が

フラッシュバックする。



ミンギュがすぐ横で

ニヤニヤする。



mg「え、なに?
  ジョングクなんかやらかしたん?」

jk「ち、ちがうし!」



声がちょっと裏返る。



mg「怪しい〜」

jk「違うって!」



否定しながらも、

内心めちゃくちゃ焦ってる。



sg「……行くぞ」

jk「……はい」



立ち上がって、

先生の後をついていく。



廊下を歩く時間が、

やけに長く感じる。



怒られる?

注意?

口止め?



頭の中で最悪の

パターンがぐるぐるする。



連れて行かれたのは___

音楽準備室。



ガチャ、と扉が閉まる。



……ここ、防音だよな。

知ってる。

音が外に漏れない。

つまり、

何されてもわかんないやつ。



一気に心拍数が上がる。

ちょっとだけ後ずさる。



sg「……そんな怯えんな」



先生が呆れたように言う。



jk「……いや、だって」



言いかけて、止まる。

先生は少しだけ息を吐いて、



sg「……昨日は見苦しいもん
  見せたな。悪かった」

jk「え」



予想外の言葉に、固まる。

怒られると思ってたのに。

慌てて首を横に振る。



jk「い、いや……その……」



どう言えばいいかわからなくて、

でも、気づいたら口が動いてた。



jk「……俺からしたら、
 羨ましかったです」



一瞬、沈黙。



sg「……は?」



先生が素で聞き返す。



あ、やばいこと言った?



でも、止まらなかった。



jk「…俺にも彼氏、いるんですけど」



自分でもびっくりするくらい

素直に出てくる。



jk「なかなか、その……」



言葉を探しながら、



jk「俺が未熟だから……
 魅力ないのかなー……なんて」



ぽつぽつ、こぼす。

言ったあとで、少し後悔する。



何言ってんだ俺。



でも、先生は笑わなかった。

むしろ、少しだけ考える顔をして、



sg「…それ、本人に言ったのか?」

jk「え」

sg「そのまま」



シンプルな問い。



jk「……言ってないです」

sg「だろうな」



即答。

ぐさっとくる。

先生は少しだけ

肩をすくめて言う。



sg「……それを言えばいいんだよ」

jk「……え」

sg「素直になりゃ、相手も来てくれる」



その言葉が、

すっと入ってくる。



……素直に。



簡単なことなのに、

1番できてない気がする。

少しだけ笑ってしまう。



jk「……ありがとうございます」



素直に頭を下げると、

先生は軽く手を振った。



sg「別に」



それから、

少しだけ真面目な顔になる。



sg「ま、昨日のことは
  誰にも言うなよ」

jk「はい」



すぐに頷く。

でも、そのまま続けた。



jk「言わない代わりに、
 相談乗ってくださいよ」



少しだけニヤッとする。

先生は一瞬だけ

呆れた顔をしてから、



sg「……ちゃっかりしてんな」



小さく笑った。



sg「わかったよ」



その一言で、

なんか少し安心する。



sg「……戻りな。そろそろ鳴る」

jk「はーい」



軽く返事をして、

ドアに向かう。

ノブに手をかけて、

ふと、思う。



……なんか、

思ってたより普通だった。



怖い人ってイメージ、

少し変わったかもしれない。



ドアを開けて、廊下に出る。

教室に戻る足取りが、

さっきより軽い。



……素直に、か。



頭の中で、

その言葉が何度も響く。



自然と、あの人の顔が浮かんで、

少しだけ、胸が熱くなった。







プリ小説オーディオドラマ