寮の部屋に戻ってからも、
頭の中には、
あの言葉がずっと残っていた。
……素直になりゃ、
相手も来てくれる…か。
ベッドに座って、少し考える。
……素直って、なんだ。
今までだって、
好きって言ったし、
ちゃんと気持ちは
伝えてる……はず。
でも、
……全部じゃない。
言えてないことの方が、
たぶん多い。
変にかっこつけたり、
隠したり、
誤魔化したり。
jk「……はぁ」
小さくため息をついて、
立ち上がる。
クローゼットを開けて、
何着かパジャマを見て___
その中から、
少しだけ違うやつを選んだ。
……なんでこれ選んでんだろ。
いつもより、
少しだけ薄手で、
なんか、落ち着かないやつ。
でも、
……素直、だし。
よくわからない理由で納得して、
それに着替える。
鏡を見ると、
……なんか変。
自分で見ても、
ちょっと違う。
けど、もういいやと思って、
そのまま部屋を出た。
___コンコン。
v「どうぞ」
中から、
テヒョン先輩の声。
ドアを開ける。
jk「……お邪魔します」
いつも通り入る。
でも、
……なんか、空気違う。
先輩が一瞬、
こっちを見て、
v「……あ」
って顔をした。
そのあと、
すぐに視線を逸らす。
……?
jk「どうしたんですか」
v「いや……別に」
明らかに別にじゃない。
しかも、なんか
微妙に距離がある。
いつもなら
もっと近くに座るのに、
今日はソファの端と端。
……え、なにこれ。
落ち着かない。
じっと見てると、
先輩がさらに目を逸らす。
……おかしい。
耐えられなくなって、
口を開く。
jk「……なんで、
そんなに距離遠いんですか」
少しだけ不満が混ざる。
すると、
先輩がぴくっと反応した。
v「……いや、その」
珍しく、歯切れが悪い。
jk「なんですか」
少し身を乗り出すと、
先輩がさらに
少しだけ後ろに引く。
……避けられてる?
胸がちくっとする。
v「……なんか、
ジョングクがさ……」
ぽつり、と言いかけて、
また止まる。
jk「……?」
じっと待つ。
先輩は少しだけ
視線を彷徨わせてから、
小さく言った。
v「……色っぽく見える、から……」
jk「……え」
一瞬、意味がわからなかった。
jk「……え?」
聞き返すと、
先輩が少しだけ顔をしかめる。
v「だから……その格好」
ちらっと視線を向けられる。
自分の服を見る。
……あ。
ここでやっと気づく。
jk「……これのせいですか」
v「……たぶん」
先輩は軽く額を押さえる。
v「いつもと違うし……
なんか、目のやり場に困る」
……なにそれ。
一気に顔が熱くなる。
でも同時に、___
……効いてる?
変な方向に思考がいく。
少しだけ、
意地悪な気持ちが出る。
jk「……じゃあ」
少しだけ近づく。
jk「もっと近づいたら、
どうするんですか」
先輩が固まる。
v「……やめろ」
jk「なんでですか」
さらに距離を詰める。
ソファの真ん中まで移動して、
ほとんど隣に座る。
v「ジョングク」
低い声。
でも、完全に止める感じじゃない。
jk「……素直になれって
言われたんです」
ぽつりと言う。
v「……誰に」
jk「内緒です」
少しだけ笑う。
それから、
jk「俺、先輩にちゃんと
伝えたいです」
真面目な声になる。
先輩がこっちを見る。
v「……なに」
少しだけ緊張した空気。
でも、逃げない。
jk「……もっと触れてほしいし、
近くにいたいです」
自分でもびっくりするくらい、
まっすぐ出てきた。
jk「あと」
少しだけ目を逸らして、
jk「…こういうのも、
見てほしいです」
小さく付け足す。
沈黙。
心臓がうるさい。
……やば、言いすぎた?
そう思った瞬間、
ぐいっと腕を引かれた。
jk「っ、」
一気に距離がゼロになる。
v「……それ、反則」
先輩の低い声が、
すぐ近くで聞こえる。
顔が近い。
近すぎる。
v「…自分でやってる自覚ある?」
jk「……ないです」
正直に答えると、
先輩が少しだけ笑った。
v「……ほんと、ずるい」
そのまま、
額を軽くくっつけられる。
さっきまで距離取ってたのが
嘘みたいに、近い。
v「……でも」
小さく呟く声。
v「そういうの、嫌いじゃない」
その言葉に、
胸の奥がじんわり熱くなる。
……素直って、こういうことか。
少しだけ、
わかった気がした。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。