夏の夜は、どこか静かで、
昼間の熱をそのまま
抱え込んでいるみたいだった。
リビングの電気は
少しだけ落として、
窓の外から入る風に、
カーテンがゆっくり揺れる。
v「……今日、
三者面談だったんだろ」
ソファに座っていたテヒョンが、
ふと顔を上げる。
俺は少しだけ間を置いてから、
隣に腰を下ろした。
jk「うん。進路、決めてきた」
言葉にすると、
思ったよりも重みがあった。
テヒョンは何も言わずに、
ただこっちを見る。
その視線に、
逃げられないなって思った。
jk「……内部進学しない」
静かに言うと、
空気がほんの少し止まる。
jk「外部進学を選択したよ
経済と社会、両方学べるとこ」
言い終えたあと、
少しだけ心臓がうるさくなる。
テヒョンは、
少しだけ目を細めて、
それからゆっくり息を吐いた。
v「……俺に無理に
合わせなくてもいいんだよ」
その言葉は、優しかった。
優しいからこそ、
ちゃんと返さなきゃいけないと思った。
jk「合わせてないよ」
はっきり言う。
jk「ちゃんと、自分で決めた。
学びたいことだし……」
少しだけ言葉を探して、
続ける。
jk「あと、
テヒョンの力になりたいから」
その瞬間、
テヒョンの表情が少し変わった。
驚いたみたいな、
でもどこか柔らかい顔。
俺は、
目を逸らさずに続ける。
jk「店、やるんでしょ。
だったら、俺もちゃんと
支えられるようになりたい」
夢を語るテヒョンの隣に、
ただ“いるだけ”じゃなくて、
ちゃんと、並んで立てるように。
テヒョンは、
少しの間黙ってから、
v「……そっか」
と、短く言った。
それから、ふっと笑う。
v「なら、いいんだよ」
その一言に、
胸の奥がじんわり温かくなる。
次の瞬間、
額に、軽くキスが落ちた。
v「そういうとこ、好き」
近い距離で囁かれて、
思わず視線を逸らす。
jk「……なにそれ」
照れ隠しみたいに言い返すと、
テヒョンは楽しそうに笑った。
その空気のまま、
俺は少しだけ真顔になって言う。
jk「でもさ」
v「ん?」
jk「テヒョン、
計算とか苦手そうだから」
v「……んん?」
jk「経理はちゃんと学びたいかなって」
一瞬の沈黙。
それから、
v「……ご尤もです」
素直に頷くテヒョンに、
思わず吹き出す。
笑いながら、ふと思う。
こうやって、隣で笑って、
少し先の未来の話をして、
その未来に、
自分がちゃんといること。
それが、何より嬉しかった。
v「……一緒に頑張ろうな」
ぽつりとテヒョンが言う。
jk「うん」
迷いなく頷く。
夢は、テヒョンの
ものだけじゃない。
もう、俺たちのものだ。













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!