第58話

#57 夢を追い続ける
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2026/05/26 13:00 更新





コーヒーの香りは、

時間をゆっくりにする。



カウンターの中で、

湯気がふわりと

立ち上るのを見ながら、

俺はいつも、

少しだけ過去を思い出す。



あの頃は、

こんな未来、

想像もしてなかった。



ただ好きで、

ただ隣にいたくて、

それだけで精一杯だったのに。



v「ジョングガ、オーダー入ってる」



奥から聞こえる声に、

現実へ引き戻される。



jk「はい、今します。」



自然と返る言葉。

でも、ふと気づく。



“はい”じゃなくていいって、

あんなに言われたのに、

忙しい時は、

まだ少しだけ癖が抜けない。



グラインダーの音が店内に響く。



豆を挽いて、蒸らして、

お湯を落とす。

一滴ずつ、丁寧に。

この一杯に、

ちゃんと意味があるように。



___これが、今の俺の夢の形。



大学に入って、

経済や社会を学ぶ中で、

もう1つ、

やりたいことが見つかった。



バリスタ。



ただの“手伝い”じゃなくて、

ちゃんと自分の技術で、

店を支えたいと思った。



だから俺は、資格を取った。



バリスタ資格1級。

そして、国際資格___SCA。



気づけば大学4年。

学生でいながら、

こうして店に立っている。



まだ“アルバイト”だけど、

卒業したら、

正式にここで働く予定だ。



カップにコーヒーを注いで、

顔を上げると、



カウンターの向こうで、

テヒョンがこちらを見ていた。



少しだけ、誇らしげな顔。

あの人もまた、変わった。



大学の間に、

バリスタ資格1級と

ローストマスターを取って、

卒業してすぐに、

この店を開いた。



小さいけど、落ち着いた空間。

テヒョンらしい、静かで、

でも温かい場所。



オーナー店長として立つ姿は、

昔よりずっと大人で、

でも、ふとした

瞬間に見せる表情は、

何も変わっていない。



v「……顔、緩んでる」



不意に言われて、

はっとする。



jk「え」

v「さっきから、ずっと」



軽く笑いながら、

そう言われる。



jk「別に、普通だし」



視線を逸らすと、



v「嘘つけ」



すぐに返ってくる。

その距離感が、

少しだけ懐かしい。



カウンター越しに、

少しだけ近づいてきて、



v「でも、いい顔してる」



ぽつりと、そんなことを言う。

その一言で、

胸の奥が静かに満たされる。



jk「……テヒョンも」



思わず返すと、



v「俺はずっといい顔してるけど?」



なんて、

いつもの調子で返される。

思わず笑ってしまう。



夢を追うって、

もっと苦しいものだと思ってた。

だけど、

隣にこの人がいて、

同じ場所を見て、

同じ未来に向かってるなら、

それはきっと、

幸せなことなんだと思う。



コーヒーの香りに包まれながら、

俺は今日も、

この場所で、夢を続けている。













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