第8話

第1章:名前を呼んでくれた人
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2026/03/12 06:09 更新










慌てて救急箱を引きずり出して、帳場から降りる。




お兄さんを椅子に座らせて、ちょっと恥ずかしいけど怪我をちゃんと見るために上着を脱いでもらった。




ジソン
ジソン
何でこんな怪我…
ジソン
ジソン
もしかして…外の事故に巻き込まれてました…?
チャンビン
チャンビン
いや、車の中に取り残された子どもを助けようとして…
ジソン
ジソン
…それで、どうしたんですか…
チャンビン
チャンビン
…素手で、ガラス割った。





筋肉質なお兄さんがここまで怪我するなんて、何事とか思ってたけど




想像通り人助けするために自分の身を顧みてなかった。




ジソン
ジソン
もう…今日、来るの遅いし、まさかとは思ってましたよ。
チャンビン
チャンビン
悪かった
ジソン
ジソン
もっと自分の身体を大事にしてくださいっ!お兄さんが来なかった間、僕どれだけ暇だったか…!
チャンビン
チャンビン
…へぇ?
ジソン
ジソン
何ですか。





何だか嬉しそうにニヤニヤしてるお兄さん。




何か僕変なこと言った?




でも、怪我してても余裕そうでムカつくから、痣ができてる所をグリっと押してやる。




チャンビン
チャンビン
いってぇ…
ジソン
ジソン
ふんっ…もう…ちゃんと傷見せてください!
チャンビン
チャンビン
はぁ…お前、それ無意識?
ジソン
ジソン
何がです、…か…





って顔を上げた瞬間に気づいた。




今、ものすごく距離が近い。




目の前にはお兄さんの顔があって、鋭い目が僕の目を射止めてる。




周りの音が、何も聞こえなくなって、お兄さんの呼吸と、僕の心臓の音だけが聞こえる。




何だか目を逸らせなくて、耳がじわじわと熱くなるのが分かる。




ジソン
ジソン
う、うるさいです…さっさと、包帯…///





途端に手が動かなくなって、頭の中がパンクしそうなほどに混乱した。




恥ずかしさから、速く終わらせたかったけど、さっきの恐怖がまだ抜けきらなくて、手が震えて上手く手当てができない。




力の入らない手で何とか包帯を巻いて、救急箱を片付ける。




チャンビン
チャンビン
…ハナ、今日は帳場じゃなくて、こっちで話そう
ジソン
ジソン
ぇ…でも、僕は受付だし…
チャンビン
チャンビン
まだ手震えてるけど、それで受付の仕事できんのか?ㅎ
ジソン
ジソン





核心を突いてくるお兄さんに言われるがまま、お兄さんがいつも座る椅子に腰掛けた。




お兄さんが来てくれたとき、すごく安心した。




今も、僕の手が震えてても、何も言わずに手当てが終わるのを待っていてくれた。




やっぱり、お兄さんは優しい。




チャンビン
チャンビン
ほら、今日はクッキー持ってきた
ジソン
ジソン
こんな日も用意してたんですね、ㅎ
ジソン
ジソン
本当、不思議な人ㅎ





包帯でぐるぐる巻きの手からくっきーの入った包みを受け取り、帳場に上って木箱に入れる。




帳場から降りて振り返れば、椅子に座って壁にもたれ掛かったお兄さんが、ふっと笑った。




チャンビン
チャンビン
もうそんなに笑顔なら大丈夫そうだな。
ジソン
ジソン
うん…ありがとう





少し考えてから、はっきりと言葉にする。




ジソン
ジソン
ありがとう、チャンビンさん。
チャンビン
チャンビン
チャンビン
チャンビン
名前…
ジソン
ジソン
なんですかー?
チャンビン
チャンビン
…いや、何でもない。
ジソン
ジソン
はい、じゃあ今日は帰った帰った!
ジソン
ジソン
しっかり休んでくださいね
チャンビン
チャンビン
はいはい、手当てありがとな
チャンビン
チャンビン
ジソンア





その瞬間、時が止まった気がした。




戸が閉まって、帳場には僕1人だけ。




名前、呼ばれた…?




ジソンって、言ったよね?




うわ…耳熱い…何これ、胸が苦しい。




でも、殴られそうになったときとは、違う苦しい。




何これ、分かんない…。




ジソン
ジソン
すー…はー…





取り敢えず、残ってる仕事を終わらせようとして帳場に戻る。




木箱の隣にぽんと置いてある綺麗に畳んだ羽織を見て




ジソン
ジソン
羽織返すの忘れてた!!





って叫んで、お客さんたちに今度は不思議そうな目で見られたのは




今日だけは忘れることにした。

















こういうコメントが何気に1番モチベーションだったりする。




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