そんなこんなで18年の時が過ぎた
見た目は昔と全く変わらない
高専の服が無いから
ダル着を着るのは久しぶりだ
普段はダボっとした白いパーカーと短パン、
スニーカーの代わりに黒いブーツを履いている
この18年間で分かったこと
まず一つ目は、前世の世界と全く違う
位置も形も…似ているのは所々あったけど
文字も最初は暗号みたいで読めなかったが
なんとか習得した
二つ目は、今過ごしている私の家族
新しい家族は父と母と私の3人家族で
兄弟はいない
父はレストランを経営する社長、
母は専業主婦として働いている
少し裕福な家庭に生まれてきたのが
私ということだ
三つ目は、なぜか術式が使える事
前世と能力は全く変わっていない
この世界に呪霊は存在してない
呪力も感じ取れない
なのに術式は常に発動できるようになっている
なんとか両親にバレずに過ごせたけど。
四つ目、この世界は普通じゃないこと
両親や噂で聞いたが、
この世界には「ハンター」という
未知なるものを追い求める探求者がいると言う
そのハンターになるには
超難関な試験に合格する…ということ
そして五つ目、この世界は術式とは違う
「念」という能力があるらしい
たまたま噂で聞いたがもしかしたら多分
呪力がないのに目が疲れることや
今使える術式はもしかしてその
「念」という能力とされているかもしれない
詳しくはまだわからないけど…
ごく普通の家庭に生まれて
東京観光とか色々したかったのに
訳わからない世界に生まれてきたじゃん…
しかも六眼で生まれてきたし
またサングラス生活じゃん
せっかく呪霊のいない世界なのに
目を隠さないと脳が影響を及ぼすとか
どゆことマジで
カフェでパフェを食べまくりながら考えるが
パフェが美味しいと言うことしか頭に入らない
特にやることもないし
バイトに充実できてるし
このまま普通の家族の娘として過ごすのかな
世界を何も知らないまま
この世界じゃ呪霊みたいに
危険な奴もいそうだけど
「ハンター」
その言葉がふと脳に思い浮かぶ
これには少し興味はある
もしかしたら「念」について
なにか知れるかもしれない
試験の内容は知らないけど
やってみる価値はある
ハンター試験当日
一通りの準備を済ませ
私はハンター試験受付会場へ向かっていた
家族に説得するのはとても大変だった
特に何も持たずに手ぶらで来たけど
必要な物あったっけ、と思いながら
前へと進んでいく
そう言われた後
定食屋のお店の奥の部屋に案内される
扉が閉まるとガコン、と音を立てて
部屋が移動する
客室かと思えばエレベーターになっていたのか
変わってるね
♫__ピンポーン
ガタッ、と止まり扉が開く
そう可愛い見た目の方が手を振る
一瞬枝豆が喋ってるのかと思った
軽くお辞儀をする
すると数字が書かれたプレートを手渡される
"350"…これが私の番号
胸に貼り付け、会場に足を踏み入れる
なんか変な素質な人が多いな…
ONE PIECEの世界みたい
__ザワザワ
< 女?
< いや、男だろ
< サングラスとかダッセぇな
<あんなひょろっちぃのがハンター目指してんのか?
< 随分弱そうだな
聞こえてるっつーの
弱い奴が人のこと弱い言ってんじゃねーよ
あとサングラスは仕方ないだろーが
まぁでも確かに見た感じ男しかいない
女は1人、2人ぐらい
身軽に徹した武器を持たない軽装備の女
ま、舐められて当然か
そう思っていた時
誰かに声をかけられた
トンパと名乗る小太りの男が私に話しかける
こんだけ人もいれば
話しかけられる事はあるか
無理やりジュースの缶を手渡される
絶対何か入ってるんだろうな
ゴクゴクとその場で怪しげなジュースを飲む
味は普通に美味しい
すごいね、味を変えないようにするのは
__ズキッ
そうトンパに一言伝え私は歩き出した
さっきのガキ?ま、どうでも良いけど
でも、流石ハンター試験
ズルイ手口を使おうとする人はいるもんだ
私にそんなことしたって
反転術式があるから無意味なんだけどな
待って数分が経つ
そうこうしてるうちに400人以上集まってきた
人混みは嫌いだし、
人の少ない入口の方にいこっと
__ギィ…
受付の扉が開く
< なんか…異様な雰囲気だぜ
< 港や街にいたハンター志望者とは明らかに違う…
全員が何らかの達人に違いない
< あのー…なんかみんなピリピリしてるね
…あんな小さい子供まで参加するんだ
そういや、
11歳から試験を受けれるって聞いたっけ
しばらく見ていると
その3人に向かってトンパが近づいていた
私にしたように3人に
ジュースをあげようとしている
周りからはトンパに対する愚痴が聞こえる
この人初めて来たわけではなさそうだな
そう思っていたその時
< ギャァァァァァ!!!!
奥の方で誰かが悲鳴をあげる
うわぁ…あんなイカつい人もいるんだ
なんか特殊性癖でももってそう
向こうのことは気にせず
私はトンパのある方へ向かった
ヒョコ、と顔を出す
驚いたトンパはその場で尻餅をついた
そう言ってトンパは私たちの元を去っていった
あの調子じゃまた何かやりそうだな…
そう思いながら戻ろうとしたその時
黒髪の男の子の目線を合わせるように
しゃがんで話しかけた
そう笑いながら立ちあがろうとした瞬間
男の子は驚くように声を上げた
男の子の頭を撫でる
その少年…ゴンは私に言った
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。