第3話

「元殺し屋は、よろず屋店長」(コメディ)
12
2024/04/02 13:09
青空の下の町の一角
そこには、現代では珍しいよろず屋があった
値段は
大きなお願い1000円〜
ただのお願い500円〜
小さなお願い0円〜
ちなみにお願いの規模は店長が決める
ヴァイル
ヴァイル
ふぃ〜、平和だなぁ…
俺はヴァイル、元殺し屋で、「伝説の殺し屋」なんて言われていた
ソミラ
ソミラ
ちょっとヴァイルさん、早く仕事に戻りますよ
そしてこいつはソミラ、俺の相棒の雑用だ
俺達はよろず屋「へーわ」を営んでいる
子供
子供
あ、ヴァイルだ!
子供
子供
ね〜ね〜ヴァイル、何か面白いことしてよ〜
子供
子供
例えばさ、このゴム鉄砲で僕が持ってる空き缶に当ててみて!
ヴァイル
ヴァイル
お、いいよ〜、一発で当ててみせる!
そう言って男の子は離れたところに空き缶をおいた
子供
子供
ふふん、ヴァイルでも当てられないでしょ〜
子供
子供
いや、きっと当てれる!
ヴァイル
ヴァイル
…ここだ
そう言って俺は引き金を引いた
そして輪ゴムは真っ直ぐ飛んでいき、空き缶に当たった
子供
子供
おぉ〜!
ヴァイル
ヴァイル
ど〜だ、一発成功だ!
おじちゃん
おじちゃん
ヴァイル君、少し手伝ってくれないかい?
ヴァイル
ヴァイル
お、駄菓子屋のおっちゃんか、どうしたんすか?
おじちゃん
おじちゃん
妻が腰を痛めてしまってね…今日だけでも手伝ってくれるかい?
ヴァイル
ヴァイル
いやぁ〜、さすがに一日中は無理っすね
おじちゃん
おじちゃん
そうか…
明らかにがっかりした声だ
そして帰ろうとするおっちゃんに俺は続ける
ヴァイル
ヴァイル
ただ、ソミラと交代しながらならおばちゃんの腰が治るまで手伝えるっすよ
おじちゃん
おじちゃん
おぉ本当かい!その…いくらで引き受けてくれるんだい?
ヴァイル
ヴァイル
そうっすね…大体500…いや、300円で受け付けましょう
酷くて一週間ぐらいかかるのも、破格の値段で受け付けるのが俺達だ
昔、殺し屋として使えきれないほどの金を手に入れたからこんなほぼ利益なんてなくても生きていけるのだ
そして俺は人の笑顔が好きだ
殺し屋の時では見られなかったあの表情
あの表情をみたら俺まで嬉しくなる
だから俺はこの仕事をやってるが…
ソミラはいつも辛そうだ、ただ俺がいない間の店番と掃除とかさせてるだけなのに…
学生
学生
キャァァァァ!ひったくり!
ヴァイル
ヴァイル
ごめんおっちゃん、ちょっと走ってくる
俺はそう言って走り出した
そして数秒でひったくりから取られたであろう荷物を奪う
ヴァイル
ヴァイル
これであってるか?
学生
学生
は…はい…ありがとうございます!
学生
学生
お礼がしたいんですけど…
ヴァイル
ヴァイル
大丈夫大丈夫!俺が勝手にやっただけだから!
俺はそう言って笑って去った
これが、俺の日常だ
そんな日常を過ごしていると、珍しく来訪者が来た
デルタ
デルタ
すみません、デルタと言うんですけど…あの…ここがよろず屋であってる?
ヴァイル
ヴァイル
ん?そうだが、どうしたんだ?
デルタ
デルタ
実は…来て欲しいところがありまして…
ヴァイル
ヴァイル
…すまんが、ここは先に料金を払ってもらうんだ
ソミラ
ソミラ
どうしたんすか…って本当に何やってるんすか…
ヴァイル
ヴァイル
いいから黙っててくれ
ヴァイル
ヴァイル
そうだな…あんたの場合、命を払って貰おうか
俺はそう言って拳銃を構えた
ソミラ
ソミラ
はぁ!?何言ってるんすかヴァイルさん!
デルタ
デルタ
…おや、気づかれたのか
ソミラ
ソミラ
…はあ?
デルタ
デルタ
私は君達がいたとこの幹部だよ
…だと思ったよ
ヴァイル
ヴァイル
俺達は殺し屋に戻る気はない
デルタ
デルタ
まあまあ、そう怒らないでくれ、ちょっとしたお願いだよ
デルタ
デルタ
私からのお願いは単純だよ、今の君達の生活を見せてくれ
ソミラ
ソミラ
…そんなけっすか?
デルタ
デルタ
ああ、頼むよ
ヴァイル
ヴァイル
…まあいいや、いつも通り掃除でもするか
ソミラ
ソミラ
そう言っていつも俺にやらせてるっすよね?
そして、俺達はいつも通りだらだらと過ごした
そして3時ぐらいになると
子供
子供
ヴァイルー!今日もゲームで勝負しようぜ!今日こそ勝ってやる!
子供
子供
ヴァイル!僕も入れて!
子供
子供
私も私も!
ヴァイル
ヴァイル
よし、今日も勝つぞ!
おじちゃん
おじちゃん
ヴァイル君、ちょっとダンボールが重くてね…手伝ってくれるかい?
ヴァイル
ヴァイル
了解っす!
学生
学生
ヴァイルさん!お菓子作ってきたので食べてもらっていいですか?
ヴァイル
ヴァイル
いいよ、いつもありがとうね
祝日には
子供
子供
ヴァイル…実は飼ってる猫がどっか行っちゃって…
ヴァイル
ヴァイル
わかった、俺も探すからどんな子か言ってくれ
子供
子供
ありがとう、お金は…
ヴァイル
ヴァイル
安心しろ、無料だ
そんな感じで過ごした
そして一週間が経ち
デルタ
デルタ
…よし、君達の仕事は理解した
ヴァイル
ヴァイル
そうか、なら帰ってくれ、殺し屋の頃の記憶なんて思い出したくないんだ
デルタ
デルタ
そう言わないでくれ
そして、デルタは驚きの一言を言った
デルタ
デルタ
私も働くつもりなんだから
ヴァイル
ヴァイル
…は?
デルタ
デルタ
これからよろしくな
ヴァイル
ヴァイル
…まじか
そして、俺の平穏な生活に一波乱起きるのだった

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