第6話

「記憶喪失した妹は兄と結婚したい」(恋愛)
8
2024/04/13 18:25
クソ兄貴
これが、俺の呼ばれ方だった
ハガレ
ハガレ
…よし、これで弁当の完成だ
俺はハガレ、一個下の妹を持つ高校2年生だ
そして
カズサ
カズサ
…また私の分も作ったの?
こいつはカズサ、俺の自慢の妹…なんだが
カズサ
カズサ
私、前にも言ったよね?クソ兄貴が作った弁当なんて食べなくないって
ハガレ
ハガレ
でもお前、そう言ってるけど、いつもお兄ちゃんが作った弁当を全部食べてるじゃないか
カズサ
カズサ
うるさい!私、もう先に行く!
と、こんな感じで反抗期真っ盛りだ
ハガレ
ハガレ
ちょっと待ってくれよ、せめて洗い物だけでも終わらさせてくれ
カズサ
カズサ
はあ?なんで私と一緒に行こうとしてんのよ!気持ち悪い!
そう言って、カズサは乱暴にドアを開けると、家を出て行った
ハガレ
ハガレ
はぁ…洗い物終わらさせてから俺も行くか
俺は、そう言って洗い物を再開した
…この後、後悔することも知らずに
ハガレ
ハガレ
…さあて、俺も行こうかな、てかあいつはあんなに早く出て何をしてるんだよ…
俺はそう言ってバックを持ち上げた
そしてそれと同時に、スマホが鳴った
ハガレ
ハガレ
また山田太郎の「課題写させて」か?めんどくせぇ…
ハガレ
ハガレ
「もしもし?」
「もしもし、春青ハガレ様で合ってますか?」
ハガレ
ハガレ
「合ってますけど…どうされました?」
俺は知らない声だったので、敬語で話した
「…とても残念な話しなのですが…」
「春青カズサ様が、先程、車に轢かれました」
ハガレ
ハガレ
はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…
俺は、電話の主が言っていた病院に向かって走っていた
そして要件を言い、すぐに面会できると言われ、ホッとした
そして俺は、看護師さんに言われて病室に入った
ハガレ
ハガレ
カズサ!大丈夫なのか!?
しかし俺は、全く予想してなかった答えを聞くことになった?
カズサ
カズサ
…え?もしかして、私の彼氏さんですか?
ハガレ
ハガレ
…は?
ハガレ
ハガレ
俺のことを、覚えてないのか?
カズサ
カズサ
…はい、ですが、あなたを見ていると、胸がドキドキします
カズサ
カズサ
だから、てっきり私の彼氏さんだと思うのですが…
カズサ
カズサ
…彼氏さん、少し、お願いがあるのですが…
俺はその言葉を遮るように言った
ハガレ
ハガレ
すまん無理だぁぁぁぁぁ!
そう叫びながら、俺は病室を出た
彼氏さんが病室を出た後、女性が入ってきた
その女性からは、母性が感じられ、一目でママだと気づいた
母
あらあら、凄いしょんぼりした顔してるのね
カズサ
カズサ
はい…
母
…あなたの現状は、記憶喪失らしいのよ
カズサ
カズサ
そうなんですか…
カズサ
カズサ
…にしても、記憶を失う前の私にはあんなにかっこいい彼氏さんがいたんですね
母
待ちなさい、その男は誰?
カズサ
カズサ
え?私と同じような髪色の、男性にしては少し高めの声の人です
母
…それ、あんたのお兄ちゃんよ
カズサ
カズサ
…ふぇ?
カズサ
カズサ
ええええええええええええ!?
嘘でしょ!?てことは…
カズサ
カズサ
私…あの人と結婚できないの?
母
そこは大丈夫よ、この際だから言っちゃうけど…
母
あんた達、血が繋がってないの
母
だから法律上はまだ家族じゃないから大丈夫よ
カズサ
カズサ
…わかりました、頑張ってみます
母
ええ、それでこそ私の娘よ
あれれから数日が経ち、カズサが退院してきた
そしてその日、母さんから俺とカズサは血が繋がっていないことを聞いた
なんと俺は、捨てられていたらしい
血も繋がっていないやつにここまで愛情を育ててもらえた俺は幸せ者なんだろう
ただ、今はそれどころじゃなかった
なぜならば
カズサ
カズサ
ハガレ君、一緒にデートしよ?
なんと、カズサが猛アピールしてくるようになった
そしてカズサは、すごい可愛い
そう、すごい可愛いのだ
だから、一日中ドキドキさせられる
ただ、俺達はあくまでも家族なのだ
そしてこれは、俺が、絶対に振り向いてはいけない、そんな物語

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