ウェンの声がいつもより震えていた
あまり日差しが当たらない此処でも
ウェンの赤くなった頬は
はっきりと見えた
もう逃げ道はない
当たって砕けてやろうと腹をくくり
下げていた顔を勢いよく上げて
ウェンに近づいた
はぁ、はぁ、と肩で息をする
言い切った。やっと、ずっと言うべきだったこと
ちらっとウェンを見れば
口を開けたまま棒立ちしており
ため息をついて座った
そして小さな声で
手で顔を覆いながら安堵の声を漏らし
次の瞬間には俺を強く抱き寄せた
相変わらず少し痛い
口に出されると案外恥ずかしいものだが
まぁ今ぐらいいいかと胸に収める
よかった、やっと言えた
こんなに幸せな気持ちになれるなら
もっと早く返事すればよかった
…なんて、ちょっぴり後悔してたり
「嘘でしょ!?」と
へにょへにょになるウェンを見て笑いながら
冗談だってばー…なんて言いながら旧校舎をあとにした












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!