思わず、そんなことを訊いていた。
だって、さっきも右に曲がったし、同じところを通っているような……
気がする。多分だけど。
左右を間違えていたらしい。
なんか恥ずかしい…… 、 、
もう間違えたくないから、黙ってついて行こう。
それにしても、さっきまで旅館内を歩き回っていたのに、見たことない場所だ。
なんていうか、その……
凄く、綺麗。
道があってるかあってないかっていう問題以前に、この道を通ることが出来て良かった、と思った。
てるとくんは、どうなんだろう。
もしかしたら、見慣れている風景なのかもしれないし、私みたいに、初めて見るかもしれない。
気になって、隣を歩くてるとくんの方を見た。
私の視線に気付いたのか、てるとくんも私の方に顔を向ける。
あからさまにじろじろと見ていたのか、私が黙っていることを不思議に感じたのか、少し、困ったように? 訊いてきた。
「どうしたの?」と言われても、別にてるとくんの方を見たことに深い意味はないし、やましい気持ちで見ようと思ったわけでもない。
少し思ったことといえば、やっぱりイケメンだなぁ、というくらいで。
少し笑いながら答えた。
今、私、ちょっと変なことを言ったかもしれない。
わかんないけど。
え、みたいな、へ、みたいな、不思議な声を出した。
少し、動揺しているように見える。
「イケメン」なんて言われ慣れてるかな、と思っていたから、どうして動揺しているのかわからなかった。
それか、てるとくんは、普段「可愛い」って言われる側なのかもしれない。
高校では1年生で1番年下だし、てるとくんって、かわいい系だし。
と、自分の中で、よくわからない結論を付けた。
さっきまで黙りこくっていたてるとくんが、口を開いた。
え、と言う声を漏らして、てるとくんの視線の先に私の視線を向けると、そこには、私やのあの部屋の扉があった。
いきなりついたので、私にバレないように瞬間移動でもしたのか、と思い、その勢いでてるとくんに訊いた。
何か面白いことでもあったのか、少し笑いながら私に訊き返してきた。
ガチャ
扉の目の前でてるとくんと雑談していたら、それを不審に思ったのか、その部屋からのあが出てきた。
言われて、てるとくんの方を見る。
そういえば、どうしてだっけ……?
軽く手を振って別れてから、私とのあは部屋に入った。
















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。