【かなめ side】
俺は階段を降りるアルケーの背中を見てから、渡り廊下の方へと足を進めた。
隣を歩いていたのは、多分一つ下の裕翔だ。友達になったのかもしれない、その辺りは分からないけれどアルケーが上手くやっているならそれでいいか。
友達からの疑いを軽くはぐらかし、足を進める。
この学校は学習棟の2階にある渡り廊下から本部棟と行き来できるようになっていて、本部棟の方には生徒会室がある。
俺の目的地はそこだ。
※01:そわそわ 参照そんなことを話しているうちに、生徒会室が見えてくる。
俺は友達と分かれて、一人で生徒会室の扉を開けた。
ここ最近やらないといけない事が立て込んでいる生徒会室には、授業時間を除いてほとんど常に誰かが居るような状態になっている。
というよりは、基本的に俺が生徒会長に就任してからだ。
改革を起こすと宣言してからもうすぐ1年が経とうとしているが、その間だけでも学校のことは随分変えた。と、個人的には思っている。
学校支給の端末を手に、俺は目安箱に入っている意見と今日のタスクをざっと一瞥した。
目安箱をデジタル化したのも俺の代だった気がする。
必要な資料は一通り作ってあったはずだが、いざ本番になって抜けが発覚するとまずいので、一応目を通しておく。
この学校の校則は、元々ここまで緩くなかった。
というのも、校則ひとつ緩くするだけでも生徒会がかなり動き回らないといけない。
校則を緩くするのは良いものの校内の秩序が乱れてしまっては宜しくないので、校則を緩くするというよりは校則の存在意義を持つ根幹を保ったまま且つ要望に沿える代替案の提示をしないといけない。
代替案の用意、教師陣へのプロモーション及び承諾、代替校則の試用期間設定、試用期間を経ての再検討及び校則導入…
この一連の流れを全て担うのが生徒会。
結論、いかんせん面倒くさい。
踏むべき手順が多すぎるのだ。
校則を変える大変さは、小一時間程語れるくらいには身に染みて分かっているつもりだ。
校則変更を3件同時進行した時は本当に死ぬかと思った。
その時、生徒会室にノックの音が響いた。
そう、このチャプターの冒頭でも触れたが(メタい)、裕翔と俺は生徒会で面識がある。
裕翔は現在生徒会副会長を務めていて、校則改正の際もお互い背中を預けていたくらいの仲だ。年下でここまで仲良くなる人が居るなんて思いもしなかったから、少し驚いた。
扉の死角の方から、アルケーがひょこっと顔を出した。
どうやらアルケーは裕翔の飛び火を食らって連れてこられたらしかった。確かにアルケーこういうの断れなさそうだもんな…(偏見
ふと聞き覚えのある声が聞こえてそちらに目をやると、明るい黄色のネクタイを付けた人物がそこに立っていた。
裕翔は物珍しそうにれむを見てから、眩しいくらいの笑顔で
そう言ってのけた。
れむがあからさまに動揺する様子を見て、アルケーは愛おしそうにれむの頭を撫でた。
二人の間でしょうもない水掛け論が繰り広げられる間、れむの耳はどんどん赤くなっていく。
ついにれむはアルケーの手を振り払った。
俺は席を立って、生徒会室の入口の方に歩いていった。
俯いてしまったれむの肩を裕翔がぽんぽんと叩くと、れむは顔を上げた。
実際絵面だけ見たらマジでそんな感じだ。
れむは少し身長が高めな反面アルケーは少し小さめなので背丈はどっこいどっこい、それに加えてこの平伏度合い。
判別する方法なんて制服のリボンの他ない。
ふと腕時計を見ると、始業5分前。
アルケーは裕翔の後を追って、二人は颯のごとく渡り廊下の向こうに走り去っていった。
俺は端末を持って生徒会室から出て、扉を施錠した。
その一方で、れむはその場を動こうとしない。
この学校の校舎は迷宮かってくらいには大きい。
文化祭とかオープンスクールとかは、来場者にとっては校内散策自体がある種の脱出ゲームになりそうで非常に面白そうなところである。
俺が差し出した手のひらに、れむの手が重なった。
チャイムが鳴るまであと三分。
ネタが無いぃぃぃぃ
時間も無いぃぃぃぃ
やっぱ代数って滅びるべきだと思う(唐突)












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。