第31話

二刀流の師
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2020/02/23 03:09
我妻 善逸
ま、待って!?あの細い体で!?
しかも柱になる前!?
我妻 善逸
それで、一人で、50体!?
宇髄 天元
しかも一刀流。
竈門 炭治郎
え?夜霧さんは二刀流じゃ…
嘴平 伊之助
おま…祭りの神に教わったっつってたぞ。
宇髄 天元
何だ、そこまで聞いてんのかてめぇ。
嘴平 伊之助
さっきのは聞いてねぇ!!
竈門 炭治郎
す、凄い…
宇髄 天元
ハンッ!!まぁこの神に出来ねぇことはねぇからな!!
我妻 善逸
いや、性別という越えられない壁があるから。
胸を張り叩く宇髄に、我妻が冷静に突っ込む。


その姿に嘴平が心底どうでも良さそうに、
嘴平 伊之助
で?アイツそれで柱になったのか?
我妻 善逸
あっ、無視ですか、そうですか。
宇髄 天元
あの後は──────



無事任務を終えて、お館様のお声が掛かる。
それから、時を経て、柱へと選ばれて、


柱合会議が終わって、戻ろうとした所で、
夜霧 蘭
夜霧 蘭
頼む!!私に二刀流を教えてくれ!!
宇髄 天元
…嫌だね。
初対面のこの女に、頭を下げられた。


義理も何もねぇのに。


くだらねぇと、初めの印象はそれだった。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
な、何故…
宇髄 天元
はっ、そりゃこっちの台詞だな。
宇髄 天元
大体、今までやって来てる流を捨てて、刀を増やす?
宇髄 天元
それでてめぇは強くなれると思ってんのか?
夜霧 蘭
夜霧 蘭
…私は、私は、師匠を見付け、
無惨を倒せるのであれば。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
強さなど、求めていないさ。
宇髄 天元
あぁ?
夜霧 蘭
夜霧 蘭
何だい?文句でもあるのかい?
あぁ、合わねぇ奴だ。


双方、確信して、睨み合う。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
…はぁぁ。
宇髄 天元
派手な溜め息ついてんじゃねぇよ!
夜霧 蘭
夜霧 蘭
あぁ、すまない。
一刀流…はね。体質的、とか、体格的に合っていない訳じゃ無いんだ。
宇髄 天元
じゃあ…
夜霧 蘭
夜霧 蘭
〝呼吸〟に合っていないんだ。
宇髄 天元
こいつは見たところ、身長も、手足も長く見えた。


唯一の欠点と言うならば、細いこと。


多分、筋肉が付きにくい体質とかなのだろう。


でも、それではなく、呼吸に合っていないだと?
夜霧 蘭
夜霧 蘭
私は〝月の呼吸〟を使いこなせていない。師匠のようには、出来ない。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
でもそれは、織り成す技に、一刀流では足りない何かがあると思う。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
私には一刀流の技術しかないんだ。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
頼む、音柱。小さな合間に見てくれるだけでも構わない。
宇髄 天元
………仕方ねぇな。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
!!本当かい!?
パッと顔を上げて、笑顔で俺を見る。


俺は目を反らし、頭の後ろをガシガシと掻いた。


こいつは絶対、ド派手に強くなる。


俺の勘がそう言っていた。


なら、この祭りの神が、


ド派手に教えてやらねぇこともねぇ。
宇髄 天元
あ、そうだ。その〝音柱〟って呼ぶの地味に好きじゃねぇ。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
じゃあ天元くんと呼ばせて貰うよ!
宇髄 天元
いきなり名前かよ……まぁ、良い。
お前の派手な性格、気に入った。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
私もだ、
その頭のも、格好良いと思う。
宇髄 天元
おっ、お前いい趣味センスしてるじゃねぇか!そう!これはな…


と、
宇髄 天元
まぁそういう訳だ。
宇髄 天元
俺が教える度強くなり、
すぐ二刀流を使いこなした。
我妻 善逸
くっそ、顔が良いからか?
顔が良いから美女が集まるのか!?
竈門 炭治郎
善逸!落ち着け!
嘴平 伊之助
紋一も権八郎もうるせぇ!!!
我妻 善逸
俺善逸ね!?
竈門 炭治郎
た、ん、じ、ろ、うだ!!
宇髄 天元
話を聞くときは地味に静かなのに、
終わると派手にうるせぇのな…
と、怒ることを放棄し、呆れ始める宇髄だった。

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