単奏太が、嬉しそうに
ケーキを選ばせる。
嫌いなのかよ!
そう言いそうに、なったが
口元を押さえて、冷静になる。
あああああ
ダメだあ////
恥ずかしくて死ぬうううう
出たな、柿の種‼︎
こういう流れで、食べる物なのか?
普通…
奏太は、バリぽりと
柿の種を、食べると
ふうと、ため息をついた。
どんだけ、僕が
来るの楽しみだったんだよ。
でも、ちょっと嬉しい。
戸惑った表情を、する
奏太。
たぶん、お礼といっても
こんな事ぐらいしか、できない
だろうから…
ガバッと、ベットに飛び込んんだ
奏太は、四角いクッションを抱きしめ
足を、バタバタさせている。
僕が、思っていたより
要望が多くて、困ってしまう。
ダメ、我慢、我慢…
さっさと、終わらせて、僕の中の
モヤモヤを、消してしまおう!
ギュッと、ベッドの上で
座っている奏太を、抱きしめる。
やっぱり、奏太は
僕の体とは違って、たくましいと
いうか、筋肉があるというか…
って、何考えてるんだ!
ぎゅうう
ドサっ
奏太から、抱きしめてくるのは
いいんだけど、ベッドから落ちて
背中を、打って痛いんですけど…
奏太に、押し倒されて
身動きが、とれない…
今…時間がまるで止まっているかの
ように思えた。
サラサラな髪に、大きな目…整った顔
思わず、そっと奏太の髪に
手を伸ばしてしまった。
サラッ
数秒間、目と目が合って
沈黙が続く。
そして、ゆっくり奏太が僕に近づく。
チュっ
唇と、唇が触れて
最初はよく、わからなかったけど
奏太にキスされたんだと、気が付いた。
へっ?あれ…あれ…
拒むことも、できたはずなのに、
そうしなかったのは、なぜだろう。
受け入れてしまった自分が、急に怖くなる。
起き上がると、僕の目から、
涙がこぼれ落ちた。
ああ、やっぱり。
そうなんだな…
奏太だから、キスも拒まなかった。
奏太だから、テスト勉強教えてもらって
感謝を伝えたいと思えたんだ。
奏太だから…好きになれたんだ。
唇に、トンと
奏太の人差し指が当たる。
体が、ピタリと動かなくなる。
奏太の真剣な表情に、目が離せなかった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。