【KAINE side】
この施設に来て、3ヶ月の月日が経った。
ルミナとの距離もだんだん縮まり、
今はでは「友達」と呼べるような存在になっていた。
今でも寝起きのルミナにはドキッとさせられてるけど。
こんな普通の女の子が、なぜこんなところに。
ふとした時に、いつもこの疑問が
浮かび上がってきてしまう。
「ガチャッ」
混血児の僕らは、普通の能力持ちの子達と比べて
少し…というかだいぶ豪華な食事が用意されている。
最初の頃は少し他の子に分けてあげたりしてたんだけど
施設の人に睨まれるから、やめた。
貰える子と貰えない子の差も可哀想だしね。
慌てて、腕まくりをするルミナ。
露わになったその右腕に、僕は驚きを隠せなかった。
赤く腫れあがった生々しい線、
古く薄く残る深い切り傷。
まるで何度も、容赦なく抉られたかのように
ルミナの腕には見るも痛ましい傷跡が刻まれていた。
いつもの明るい声。
でも、手の先や目の奥には、
ほんの少しだけ緊張が残っていた。
胸の奥がぎゅっとなるのを感じる。
ルミナは何も言わない。
でも、この子がずっと一人で背負ってきた痛みが、
この小さな体に僕が想像できないほど
刻まれていることは、ひと目で分かった。
ルミナの目を見ると、
それ以上その話題を出すことは、できなかった。
自分達の部屋に戻ってきて、
もう一度さっきの話をしようと思った。
そう、強がるルミナの顔。
少しだけ、瞳が揺れたことを僕は見逃さなかった。
月霊。
というか月霊に限らず、霊がつく能力者。
つまり精霊たちは昔ヒューマンと能力者が
戦争をしていた時代に武器として使われていたらしい。
そのくらい価値が高く、希少な精霊たち。
ルミナが…その精霊のDNAを持っていただなんて…
そう言って笑顔を浮かべる君が、
今までどれほどのことを諦め、
どれほどのものを手放してきたのか。
僕には、それを想像することさえできなかった。
言葉を探したけれど、何も出てこなかった。
だから代わりに、ルミナの手に自分の手を重ねた。
小さく、でも確かに伝わる温もり。
ルミナは一瞬目を見開き、驚いたように手が震えた。
でもすぐに、ふわりと笑い、無言で握り返す。
その笑顔はいつも通り明るいけれど、
どこか儚くて、守らなきゃいけないという思いを
より強くさせた。














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!