【LUMINA side】
手足をぎゅっ、と固定される。
痛いって言っても、緩めてくれないし。
先生の声が、まるで優しい囁きのように
頭の中に響く。
でも、その声には見ぬふりはできないほどの
冷たさが含まれていた。
小さく頷いた瞬間、体に鋭い痛みが走った。
腕に何かを刺すような感覚、
脚には締め付けられる圧力。
泣くのが、悔しくて。
目の奥で涙がにじむのを必死に押さえた。
器具が腕や足を固定するたび、鈍い痛みが広がる。
そう言い、楽しそうに器具を動かす先生。
思わず、涙が溢れそうになって、悔しさに胸が揺らぐ。
腕に赤く跡が残り、脚も締め付けられて、息が苦しい。
傷跡を指で弾かれる。
声が漏れる。
痛い。怖い。辛い。寂しい。助けて、誰か。
「笑っていなきゃ」
心の中でそう何度も呟く。
泣きたい気持ちを必死に隠す。
この笑顔を見せれば、職員が喜ぶことも、
怒ることもないとも、わかっているから。
あれから、どのくらい時間が経ったのだろう。
身体はもう、動かない。
「ドンッッ」
首に鈍い衝撃が走って
そのまま視界が暗くなった。
【KAINE side】
目を覚ますと、いつも隣にいるルミナがいなかった。
嫌な予感が胸を突き刺す。鳥肌が止まらない。
叫んでみたけど、この檻のように閉ざされた扉は
びくりとも動かない。
ただ、扉の向こうから
弱々しく自分の名前を呼ぶ、
大好きなあの子の声がした。
必死に声を張り上げるけれど、
扉の向こうの声は小さく、かすかで、焦りだけが募る。
扉に手をかけると伝わるのは、冷たく硬い鉄の感触。
鍵がかかっているのは分かっている。
けれど諦められない。
ルミナを、もう1人にすることはできない。
「キィッ」
その瞬間、かすかに金属が擦れる音。
向こう側で誰かが息を荒くしているのがわかる。
ルミナの声じゃない。
職員の声…冷たく、嘲るような響き。
心臓が破裂しそうなほど高鳴る。
怒りと恐怖と、守りたいという気持ちが渦になって
体中を駆け巡る。
叫びながら扉を叩き、鍵を蹴ろうとするけれど
びくともしない。
怒りが、恐怖を超えて全身に燃え広がる。
どうしてこの子だけが
こんな目に遭わなきゃいけないのか。
絶対に、この手でルミナを連れ出してみせる。
命を賭けても、守らなきゃ。
そう、強く思った瞬間。
心の奥底から何かが覚醒するような感覚が走った。
体が自然に前に進み、
鉄の檻を突破する力を求めている。
あの時、ルミナを傷つけたあの時と同じ。
力が溢れ出て、抑えきれない。















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!