第8話

7.揺らめく2つの影
13
2026/01/12 05:47 更新
【LUMINA side】


手足をぎゅっ、と固定される。

養護施設の人
養護施設の人
痛くない?
ルミナ
ルミナ
……はい、


痛いって言っても、緩めてくれないし。

養護施設の人
養護施設の人
303…いや、ルミナ…今日も頑張ろうなぁ




先生の声が、まるで優しい囁きのように
頭の中に響く。



でも、その声には見ぬふりはできないほどの
冷たさが含まれていた。


ルミナ
ルミナ
…ん、


小さく頷いた瞬間、体に鋭い痛みが走った。


腕に何かを刺すような感覚、
脚には締め付けられる圧力。


ルミナ
ルミナ
…くっ、……う、…ぁ…




泣くのが、悔しくて。


目の奥で涙がにじむのを必死に押さえた。




器具が腕や足を固定するたび、鈍い痛みが広がる。


養護施設の人
養護施設の人
うーん、ルミナ、ペガサスって
痛みに弱いんじゃないの?
もっと声を聞かせてくれてもいいんだよ?




そう言い、楽しそうに器具を動かす先生。


ルミナ
ルミナ
(悔しい…っ)



思わず、涙が溢れそうになって、悔しさに胸が揺らぐ。




腕に赤く跡が残り、脚も締め付けられて、息が苦しい。



養護施設の人
養護施設の人
んー笑笑、痛いでしょこれ。





傷跡を指で弾かれる。


ルミナ
ルミナ
……っ、ふ、…ぁ…



声が漏れる。
痛い。怖い。辛い。寂しい。助けて、誰か。



養護施設の人
養護施設の人
おお、結構赤くなったね。
今日もよく頑張った証拠だ。


「笑っていなきゃ」
心の中でそう何度も呟く。



泣きたい気持ちを必死に隠す。
この笑顔を見せれば、職員が喜ぶことも、
怒ることもないとも、わかっているから。
















あれから、どのくらい時間が経ったのだろう。




身体はもう、動かない。




ルミナ
ルミナ
…っ、…ぁ…は、…
養護施設の人
養護施設の人
ペガサスの回復能力はどうした?
ルミナ
ルミナ
…も、ぅ…使えな、…ぃ
養護施設の人
養護施設の人
……耐久力がないなぁ。
…そういえば、来月純血のペガサスが
うちの養護施設に入ってくるんだよ。
ルミナちゃん?
ルミナ
ルミナ
…!…そ、れって…


「ドンッッ」
















首に鈍い衝撃が走って











養護施設の人
養護施設の人
君はもう、用済みってことだよ…




そのまま視界が暗くなった。




【KAINE side】
カイネ
カイネ
…ん、?…


目を覚ますと、いつも隣にいるルミナがいなかった。



嫌な予感が胸を突き刺す。鳥肌が止まらない。


カイネ
カイネ
ルミナ、…っ、ルミナ!!!!


叫んでみたけど、この檻のように閉ざされた扉は
びくりとも動かない。


ただ、扉の向こうから



ルミナ
ルミナ
…っぁ、…カイ、ネちゃ…


弱々しく自分の名前を呼ぶ、
大好きなあの子の声がした。


カイネ
カイネ
ルミナ…?ルミナ!ルミナ!!!!



必死に声を張り上げるけれど、
扉の向こうの声は小さく、かすかで、焦りだけが募る。


扉に手をかけると伝わるのは、冷たく硬い鉄の感触。



鍵がかかっているのは分かっている。
けれど諦められない。



ルミナを、もう1人にすることはできない。





「キィッ」




その瞬間、かすかに金属が擦れる音。


向こう側で誰かが息を荒くしているのがわかる。


ルミナの声じゃない。
職員の声…冷たく、嘲るような響き。

カイネ
カイネ
ルミナ!!ルミナ無事なの!?
ルミナ!お願い返事して…っ!!


心臓が破裂しそうなほど高鳴る。



怒りと恐怖と、守りたいという気持ちが渦になって
体中を駆け巡る。



叫びながら扉を叩き、鍵を蹴ろうとするけれど
びくともしない。
カイネ
カイネ
……ルミ、…ナ…!!


怒りが、恐怖を超えて全身に燃え広がる。
どうしてこの子だけが
こんな目に遭わなきゃいけないのか。



絶対に、この手でルミナを連れ出してみせる。
命を賭けても、守らなきゃ。



そう、強く思った瞬間。
心の奥底から何かが覚醒するような感覚が走った。
体が自然に前に進み、
鉄の檻を突破する力を求めている。


カイネ
カイネ
僕は、……この感覚を知ってる…






あの時、ルミナを傷つけたあの時と同じ。


力が溢れ出て、抑えきれない。



カイネ
カイネ
……っ、…行こう、「妖狐」。

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