人目のない場所で、あなたがふいに「壁ドンしてみて」とお願いしてみた。
「……は?」
一瞬、ナムギュの目が見開かれる。
まるで、聞き間違いでもしたかのように。
「お前、何言ってんの…バカか?」
言いながら、頬がうっすら赤くなってる。
普段は誰に対しても挑発的で慣れた男を装っている彼だが、恋愛の「演出」にはとことん弱い。
あなたが冗談っぽく笑って「見てみたいだけ」と言うと、ナムギュは一度プイッとそっぽを向いた。
「チッ……くだらねぇ。」
「…後悔すんなよ、」
ほんの数秒の沈黙のあと、ぐいっとあなたを壁際に追い込み、右手を壁につく。
ゴンッ——
その音は意外にも本格的で、あなたの身体がびくっと反応するほど。
「……こうかよ。」
近い。
顔も距離も。
ナムギュの目線は真っすぐあなたをとらえている。
けれどその視線には、茶化しでも見下しでもない、どこか探るような、試すような色があった。
「…なに、期待してた?」
「こんなガラでも。」
言葉はあくまで強気。
けれどその喉仏が、ごくんと動いたのをあなたは見逃さなかった。
ほんの少し震えた指先と、頬の赤みが、彼の動揺と、まんざらでもない気持ちを物語っている。
「…あー、やんなきゃよかった…」
そう低く囁いたあと、彼はすっと手を下ろして離れる。
けれどその後ろ姿は、どこか早足で、たぶんごまかしの逃げ腰だった。
補足: ナムギュの心理
• 表面:茶化しつつ強気に対応。「バカか」とか「くだらねぇ」と言いつつ、頼まれるのが嫌ではない。
• 内面:ドキドキしてる。だが、自分の「本気」が見透かされるのが怖くて、いつも通りの口の悪さで隠す。
• 行動:リクエストにはちゃんと応える。でも、相手にからかわれるのが恥ずかしくて、早めにその場を切り上げようとする。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。