帰り道
ユジンオンニと別れると
そのまま一本道の坂を上る
もう遅いからか辺りは凄く静かで
壊れかけの電灯がチカチカと点滅していた
ジウォンちゃんの綺麗な顔が
彼女の匂い、体温、表情が鮮明に残っている
これ以上ドキドキしたくないのに
頭から離れられない
ジウォンちゃんの腕を掴むと
そのまま私の頬に手を添えさせる
ひんやりとした手が冷たくて心地良かった
優しく微笑みながら
私の髪を少し撫でては腕を下ろす
どんなに小さな動作でもつい目で追ってしまう
10分後
爽やかな笑顔で別れを言った割には
私の手を離してくれないジウォンちゃん
何か言いたい事でもあるのだろうか
顔を少し俯かせて、少し考えている様子
でもやっぱり手は離してくれないみたい...笑
俯くジウォンちゃんの顔を覗き込む
今日はお互い、言いたい事だらけみたいだ
手を引っ張られ手繰り寄せられると
そのまま彼女の綺麗な顔が近づく
そんな泣きそうな顔で言われたら嫌とは言えない
むしろ可愛くてしょうがないから
良いよって言いたいところなんだけど
生憎、玄関前で立っているものだから
もし今おばさんが玄関を開けようものなら
バレるどころの問題じゃない
さっきとは違い、ジウォンちゃんの顔が見たくて
少しだけ目を開いてみる
私の頬に添えられたジウォンちゃんの手は
さっきとは違いほのかに熱を持っていた
後ろを急いで振り向くと
おばさんが玄関から顔を出してこちらを覗いていた
そう言うと、気まづさから走って
帰ってしまったジウォンちゃん
今日はなんかタイミングが色々悪いかも....笑
キスはお預けみたい
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8月下旬
今日は夏休みを締めくくる最後のイベント
夏祭り第2弾
今日はジウォンちゃんと2人での予定だったけど......
今日のお祭りは少し目的が違うみたいだ....笑
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。