第11話

No.10 鈴木琴音の過去
7
2025/10/12 06:41 更新
「話せば長くなるけど、お父さん…樹さんと出会ったのは私が19歳、樹さんが24歳の時で__。」

琴音には親から愛された記憶はなく、

いつも孤独を感じる日々を送っていた。

そんな孤独を埋めるため、

高校に入った時からパパ活を始めた。

歳は離れていたけれど、誰かと一緒に食事をしたり

楽しく会話をしたりすることは、

罪悪感を感じると共に幸せを感じられた。

だけど、その幸せは長く続かなかった。
「琴音ちゃんは今日も可愛いね〜♡」

「ありがとうございます!前田さんもかっこいいですよ〜。」

「あはは…ほんと琴音ちゃん、俺のドタイプだな〜♡」

「わぁ〜嬉しい♡」

「今日は今までとは違う所行こっか♡」

「えー?どこだろ〜、楽しみ♡」

「着いた、ここだよ♡」
前田に連れてこられたそこは…ラブホテルだった。

「え?ちょ、前田さん?ここはダメですよ。」

琴音の話を聞かず、前田は腕を引っ張り

無理やり連れて行こうとする。

「いやっ!やめて、誰か助けて!」

琴音の声は通りすがりの人達には聞こえていない

かのように誰もこちらを見る人はいなかった。

(…そっか、自業自得なんだ。私が孤独を埋めるために自分で望んでしてたこと、だから文句は言えない。)

琴音が諦めて体を預けようとした瞬間、

1人の男性が声を掛けてきた。
「その子、まだ未成年に見えますけど?」

「お、お前には関係ないだろ!」

「そうですね、関係ないです。でも、僕人が困ってる所を見ると助けたくなる性格なので、警察呼びました。」

そう言いながら110番が表示されているスマホ画面を

前田に見せつけた。

「…っ!」

前田は血相を変え、走って逃げた。

「あ、あの…助けてくれてありがとうございました。」

「いいよ、全然。それより、大丈夫だった?怖かったでしょ。」

その人はまるで赤子をあやすかのような声色で話す。

こんなに優しくしてくれる人は人生で初めてで、

胸の高鳴りが収まらなかった。
「そ、そんなことよりっ!警察を呼んだって言ってましたよね…?」

「…あぁ!呼んでないよ。」

「なんで…?」

「呼んだら君が困るでしょ?だから!」

そう屈託のない笑顔で言われ、顔が熱くなる。

「あ…もう帰らないと怒られちゃう。君も気をつけて帰るんだよ。」

去ろうとするその人の腕を咄嗟に引っ張る。

「あ、あの!名前、と連絡先…教えてくれませんか?」

「う〜ん、まぁそのくらいなら…。佐藤樹、連絡先は○○○−○○○○−○○○○。」

一生懸命メモをする事値に樹は少々厳しく言った。

「言っとくけど、僕結婚してるから。」

「…お礼をしたいので1度だけ会うことはできませんか?」

「…考えとくね。」

「2日後、連絡しますね。」
琴音が2日後、樹に

土曜日駅前のカフェに来てくれませんか、と連絡すると

少しだけなら、と会うことを許してくれた。

「ごめん、待った?」

「いえ、全然!待ってないです!!」

そう笑顔で答える琴音だったが、

すでにドリンクを2杯も飲んでいた。

「ははっ、それなら良かった。」

笑いながら言う樹に琴音はまた、胸の高鳴りを覚える。

「あ、あのっ、この間は本当にありがとうございました。」

樹は店員にブラックコーヒーを頼んでいるところだった

「いえいえ。えーと、君は…」

「あっ、鈴木琴音です。」

「琴音ちゃんはいつもああいうことしてるの?」

「はい…。でも、そろそろ真面目に生きていかないといけないな…と思いまして。」

「そっか。僕に手伝えることがあればいいんだけど…」

「だ、大丈夫です!お礼をするために今日呼んだだけなのに、またお世話になるとか申し訳ないのでっ!」

「そう…頑張ってね。応援してるよ。」

そう言い、樹はトイレに席を立った。

その隙に琴音は樹のドリンクに睡眠薬を投入した。

薬で眠気に襲われ、判断力が低下している樹を

ホテルまで連れて行き、そのまま一夜を共にした。

プリ小説オーディオドラマ