帰宅後、
みんなが1度部屋に戻って行くのを横目に
私はリビングへと向かった
小さく名前を呼ぶが返事はかえってこない
リビングには誰もいなかった
もしかして、と思い私は襖を開けた
ドサッ
襖を開いた瞬間
薄暗い空間の中から何者かの手が私を掴み中へと引っ張った
引っ張られた時に体勢を崩してぐれにぃの膝に乗る形になってしまった
1秒でも早く降りたいのに何故か手を離してくれない
しかも肩に手を添えられてしまった
恥ずかしさに顔が熱くなっていくのが分かる
出来るだけ顔を見られないようにしながら手に持っているクッキーを渡す
次から次へとクッキーを口に入れその度美味しいと言ってくれる
それを聞いて嬉しさと恥ずかしさが込み上げ、
自分でも驚くくらいに心臓が鳴っている
俯いた私の顔を覗くようにしてそう言ってくる
笑いながらそういうぐれにぃ
スッ…と心の奥の方を見るように
私の目を見て落ち着いた声でぐれにぃは言った
謝ろうとしたその時
ぐれにぃはパッと笑顔に戻り
何事も無かったかのようないつも様子に戻った
ギュッとハグされた後
私は隣に移動させられた
改めてクッキーの入った袋を嬉しそうに眺めて言う
もし…もし夾兄に渡していたら…
彼はなんと言っただろうか
どんな顔をしてくれただろうか
目の前にはこんなにも喜んでくれている人がいるのに
私は何を考えているのだろうか
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。