第9話

9.行動/
273
2018/04/01 17:01






「……あれ、あなた!」

「嘘…あなた!やっと戻ってきたんだね…!」



教室に入るや否や、
色んな人が私に話しかけてくれた。



「…うん、おまたせ」










昨日、あの後私は家族や先生に相談し、
『学校に復帰したい』という気持ちを伝えた。

そんな私をみて、
みんな驚いた顔をしたが、
優しく微笑んで受け止めてくれた。











「…えっと、蒼斗…いる?っていうかどの教室とか分かる…?」


私が蒼斗の名前を出すと、
みんな驚いた顔をしていた。


「…そ、蒼斗はこの教室。多分時間的にそろそろ来ると思うけど…。あなた、蒼斗のこと思い出したの?」



私は首を横に振った。
……蒼斗のことを思い出せたわけではない。

今話してる友達のことも、
お見舞いに来てくれて、
名前と顔が一致してる程度。
一応、断片的には、思い出せる友達もいるけど…。




「…そっか、あ、蒼斗来たよ!おはよー、蒼斗」




……蒼斗っ。

友達が向いてる方を見ると、
確かに制服を着た蒼斗がいた。
蒼斗の表情は少し暗く見える。




「おはよーっ。……あなた…っ」




蒼斗はみんなに笑顔で挨拶してたが、
私の顔を見た瞬間表情が固まった。




「…おはよ、蒼斗」

「学校…来たんだ…」

「…うん、私なりに決心できたから。…後で、ゆっくり話せる?」





私が蒼斗に聞くと、
蒼斗は私の方に歩いてきた。

…そして、すれ違いざま、
『放課後、屋上で待ってる』と言った。




返事をしようとしたが、
チャイムと同時に入ってきた担任の

「よし、SHR始めるぞ〜!」

という声に私の声は掻き消されてしまった。









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