第23話

完璧な記念日
24
2025/09/19 11:00 更新


















神父の前に立った2人


















彼は、陽光を纏った夜だった











深いミッドナイトブルーのタキシードは、黒よりも優しく、それでいて静かな力強さを抱えていた

陽にきらめく織りの糸が、まるで星屑を散りばめたかのように微かに輝いている




その胸元には銀のタイピン

シンプルな一輪の薔薇が彫り込まれたそれは、彼の内にある誇りと覚悟を表すようだった




漆黒の髪は丁寧に整えられているが、前髪の一筋だけがあえて少しだけ落ちている

そのわずかな" 崩し "が、彼の持つ孤独や優しさを滲ませ、完璧すぎない美しさとして花嫁を見つめていた




瞳は海の色よりも深く、どこか憂いを帯びていて、けれどその視線が彼女に向いた瞬間──

その中に静かに灯る炎のような愛情が、誰の目にもはっきりと映った




指先は硬さを持ちながらも優雅で、彼女の手を取る動作すら、まるで誓いそのものだった





















そして彼女は、花嫁であり、光だった











ドレスは真珠の光沢をたたえたオフホワイト

透き通るようなチュールが幾重にも重なり、歩くたびにその裾がゆっくりと波を描く

身体の線を柔らかくなぞるようなシルエットは、気品とあたたかさを両立させていた




背中は大胆に開かれていたが、不思議とそれは肌を見せるというより" 心を晒す "ような美しさで

細い鎖骨と白磁のような肩に降りたベールが、春の霞のようにふんわりと落ちていた




髪はアップスタイルに編み上げられ、そこには青い小花と銀の葉をかたどった細工が飾られている




それはまるで彼のタキシードと呼応するようで、無言のうちに互いを求め合っていた




その瞳はやわらかな光を帯び、まっすぐに彼を映していた

唇は震えながらも微笑を湛え、心からの「 愛しています 」を何度でも伝えられそうなほどに、優しく、強かった




















互いに指輪を手に取り合い、あなたの下の名前が小さく笑った
























(なまえ)
あなた
…今日が、またひとつ記念日になるね



(なまえ)
あなた
あの日みたいに、理想的な形じゃなかったけど…


(なまえ)
あなた
沢山心配かけちゃったし





(なまえ)
あなた
…でもやっぱり私は、今日を選んで良かったって思ってるよ



























カラ松は、優しくかんなの手を包みこむ。





















カラ松
カラ松
理想なんていらないさ。



カラ松
カラ松
あなたの下の名前が隣にいてくれるなら、それがもう…完璧な日だよ






















静かに、指輪をはめ合う







その瞬間、まるで世界が祝福してくれているように、チャペルの鐘が鳴り響いた









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