あなたに、どうしたら好きになってもらえるかって
たくさん考えた。
好きなものをあげたり
優しさだけを与えて
いつでも笑顔でいて
でも、どんな方法を使ってもあなたが俺に振り向いてくれることなんて1度もなかった
まだあなたと出会ってない小学1年生の時、
俺はガキの頃から喧嘩が強くて、
毎日と言っていいほど、その辺の小学生が俺に挑んできては泣きながら帰って行っていた
毎日喧嘩の日々だからなのか、顔にはたくさんの絆創膏が貼られていたし
傷が治ればまた新しい傷ができていた
学校の帰り道、
少しふらつきながらも汚れた服とランドセルを身につけて
家に向かって帰っていた時だった
通りかかった公園の中で
座り込んで泣く少女と、
少女の周りに3人のガキが囲んでいた
3人のガキはボールを置いて
走り去って行った
初めて会ったあなたは
俺に必死にくっついて
ずーっと泣いてた
俺が怪我してて
怪我の痛みを汲み取ってあなたは泣いてくれていた
この時に、笑うってことを思い出した
久しぶりに笑顔を取り戻した
だからこれからは、あなたを笑顔にしたいって決めた
もう二度とあなたを悲しませない、怪我しないって決めた
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。