ルイージside
兄さんはそう言った
でもあなたちゃんは何も反応してくれなかった。
その様子を見て兄さんは苦しそうだった。
少しの間沈黙が流れた。
するとヨッシーが言った。
そうやって笑いながらヨッシーは泣いていた。
ヨッシーも兄さんも泣いていた。
僕は……なんて言葉をかければ正解なのかわからなくてただ様子を見ているだけだ
……僕はいつもそうだ。
他の人が悲しんでいても何も行動していない。
自分も苦しくなってしまって何もできない。
それがたとえ実の兄だったとしても。
今目の前で大切な人が悲しんでも、苦しんでも、僕は何もしない。
それを直さなきゃ…って思っても体が動かない。
痛いのも苦しいのも嫌だからだ。
沢山の人を助けられるヒーローになりたい。
でもヒーローになるには何かしらの傷を負う。
傷つく、苦しくなる。
そういう兄さんの様子を何度も見てきた。
だから余計怖くなった。
兄さんみたいになりたい。
ヨッシーみたいになりたい。
そんな願望は叶わない。
そんなのわかりきっていた。
だからもう憎まれ役でいると決めた。
他の人を助けなくても、それが正しいんだって思い続けた。
でもあなたちゃんだけはそう思えなかった。
だから今普段とは桁違いな罪悪感と自己嫌悪を続けている。
彼女だけは他の人となにか違う。
何故か助けたい。
泣いているところを放置するほうが辛い。
………だから?何?どうしろって言うんだ。
でもどうにかしなきゃという気持ちになる。
僕の中であなたちゃんに話しかけてどうにかする手べきだという気持ちと
このまま何もしないのが正しいという思いが心で戦っている。
僕はどうすべきなんだろうか?
たとえ慰めようとしても失敗したらどうしよう。
嫌われたらどうしよう。
でも孤独は嫌だ。 うんざりだ。
そして兄さんやヨッシーの憐れむような顔も、もう見たくない
そしてあなたちゃんの苦しむ顔も
だからすこしずつでいい救おう、沢山の人を
最初はうまくいかなくても失敗してもいい。
だってもう僕はその第一歩をもう踏み出せたのだから。
さぁ二歩目を踏み出すんだ!!
〜to be continued〜
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。