第3話

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2026/02/28 15:00 更新




 赤い月が昇る夜




 セレスティア家の廊下は静まり返っている




 あなたは窓辺に立ち、遠くを見ていた






 なぜか、胸が落ち着かない




 理由は分からない







 ただ今夜、ラグーザ家が来る




 その事実が、妙に引っかかる




侍女
お嬢様、舞踏会のお時間です




あなた
……ええ、




 完璧な姿




 完璧な令嬢




 それが自分の役目






 ホールに足を踏み入れる






 ざわめき




 視線






 そして






 銀髪






 あなたの足が止まる






 ラグーザ家三男【アレクサンドル・ラグーザ】




 赤い瞳




 こちらを見ている




 何故か




 目が逸らせない




 アレクサンドル・ラグーザも、




 彼女を見た瞬間に理解する


kzh
(……やっぱり、お前か)




 変わっていない




 あの時より、大人になっただけだ






 でも




 その瞳に、自分は居ない




 アレクサンドル・ラグーザは歩く






 逃げない






 今度は




kzh
セレスティア家の令嬢、
あなた
ラグーザ家の方




 形式的な会話



kzh
初めまして、だな
あなた
えぇ、




 彼は一瞬だけ目を細める




kzh
……そうだな





 ♪〜





 音楽が始まる




kzh
踊るか?
あなた
…敵と?
kzh
政治だ




 手を取る




 触れた瞬間




 あなたの呼吸が乱れる


あなた
(どうして、)




 懐かしい




 でも記憶がない




 彼は何も言わない




 ただ、強く握りすぎないように気を付ける







あなた
…不思議です
kzh
何が
あなた
貴方といると、
何かを忘れている気がします
kzh
…!




 心臓が強く跳ねる




 平静を装う




kzh
気の所為だ、
あなた
そうでしょうか?




 私はじっと彼を見る




あなた
貴方の名前は?














kzh
アレクサンドル・ラグーザ
kzh
サーシャでいい、
あなた
サーシャ




 その響きに、なぜか胸が締め付けられる



kzh
忘れんなよ?
あなた
、初対面ですよ?






kzh
………だな













 音楽が止まる




 手が離れる




 あなたは去る







 サーシャはその様子を見送る















kzh
……(約束、守るって言っただろ)






 声には出さない




 出せない






 今はまだ






 ホールの奥で、両家の当主が




 静かに言葉を交わしている
 何かが動き始めているでも二人は知らない

 あの日の約束が、まだ終わっていないことを。

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