第38話

もうそれは過去の話
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2021/07/19 12:20
ゆっくりと___閉じていた瞼を開く。
あなた

……

あんな過去モノ、思い出したくなかった。


後悔しかなかった。
幸せなんてなかった。

認知もされないで、

ただの足でまといで、
想いを告げることも出来ず、散った。
前世の私は、いかに根性無しで、臆病者だったか。
あなた

辛かったなぁ、……あん時は、






…………本当は、気付いてた。
文化祭の……あの日。
“上弦ノ弐”が、現れた時。
実弥と宇髄先生が、妙に見覚えのある刀と、技を繰り出した時。

頭にかかっていた霞のようなものが、
一気に晴れていった。
……前世で見た彼そのものだった。
あれは確かに、威厳のある風柱様の姿で。
あの時、私が恋に落ちた瞬間ときの彼そのもので___





“___今直ぐにでも俺がぶった斬ってやるからよォ”
“だからテメェは、そこで見とけ”




前世で言われた言葉。

文化祭の時も___同じような事を言われた。
あなた

私は、っ…………、




___なんて、幸せ者 なんだろう ?


前世の私に自慢してやりたいくらい、今の私は幸せだ。

消し去りたい過去みたいな感じで語ってきたが、ぶっちゃけ今じゃあの思い出は笑い話みたいなものだ。



“幸せ”だからこそ、

前世の片想いを引き摺らずに、笑い話にできる。


…まぁ、彼にこの話は絶っっっ対にしないが。

いやまぁ話せば彼は何だかんだ喜んでくれるだろう。
多分ちょっと煽ってきながらも顔を赤らめたりする……かもしれない。うーん、見たい。

……が、その前に私が羞恥心で死ぬのでやめておく。
あなた

……あ

ひーちゃん……はスヤスヤ寝てるな。可愛い。
相変わらず天使だ。可愛い。

そういえば、実弥はどこ行ったんだろう。

一緒に寝ちゃったんだと思っていたが、起きた時には既に姿を消していた。

何かあったのだろうか、、、?
いや、流石に考えすぎか?
つい最近、“鬼舞辻”に襲われたばっか……
あなた

……






……まさか。















直ぐにひーちゃんを友人に預けた。






















私だってヤワじゃない。

昔の感覚を取り戻した今なら、










少しくらい、役に立てるはず___!

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