春のある日、あなたは久しぶりに黒尾の大学を訪れた。
都内の広いキャンパスに、長い黒髪と凛とした雰囲気のあなたが現れると、周囲の学生たちがざわめき始める。
「え、あの子誰?」
「黒尾の彼女じゃない?」
「めっちゃ美人……!」
そんな声があちこちから聞こえてくるが、あなたは気にする様子もなく、まっすぐ黒尾の元へ歩いていく。
黒尾はバレー部の練習を終え、体育館の前であなたを待っていた。
「お、来たな。」
黒尾はいつものように、少し意地悪そうな笑みを浮かべて手を振る。
あなたも自然な笑顔で駆け寄り、黒尾の隣に並ぶ。
『久しぶり。元気だった?』
「まあな。お前こそ、寮生活はどうだよ?」
『最初は大変だったけど、今は楽しいよ。
でも、やっぱり鉄朗に会えないのは寂しい。』
黒尾はあなたの頭を軽く撫で、周囲の視線を気にも留めず、自然に彼女の手を取る。
「俺もだよ。
……でも、こうして会いに来てくれるの、嬉しい。」
二人の距離は、まるで高校時代と変わらない。
むしろ、離れて過ごす時間が増えた分、会えた時の喜びは何倍にもなっていた。
黒尾の友人たちが遠巻きに見ている中、黒尾は堂々とあなたの肩を抱く。
「なあ、あなた。
……お前、相変わらずモテるな。今日も黄色い声がすごいぞ?」
あなたは少しだけ照れたように笑い、黒尾の腕に自分の手を重ねる。
『鉄朗だって、女子に囲まれてるじゃん。
でも、私が好きなのは鉄朗だけだよ。』
黒尾は満足そうににやりと笑い、彼女の額に軽くキスを落とす。
「知ってる。……俺も、お前だけだ。」
高校時代、男遊びをしていたあなたの面影は、今の二人の間には微塵も感じられない。
お互いを信じ、支え合い、離れていても心はしっかりと繋がっている。
また別の日、あなたの大学に黒尾が訪れた時も同じだった。
長身で整った顔立ち、どこか余裕のある雰囲気――
黒尾がキャンパスを歩くだけで、女子学生たちの視線が集まる。
「え、あの人誰?あなたちゃんの彼氏?」
「めっちゃイケメン……!」
そんな声が聞こえても、黒尾は気にせずあなたの元へ向かう。
あなたも、周囲の視線を気にすることなく、黒尾の腕に自然と手を絡める。
『遠いのに、わざわざ来てくれてありがとう。』
「俺のお姫様に会いたかったからな。それだけですよ。」
二人の間には、誰にも入り込めない信頼と絆があった。
どんなに離れていても、どんなに周囲が騒がしくても、二人の距離は変わらない。
――お互いの大学で、黄色い声が上がるたびに、
「やっぱり黒尾とあなたは特別だ」と、誰もが思う。
そして二人は、またそれぞれの場所へ戻っていく。
次に会える日を楽しみにしながら、離れていても変わらぬ想いを胸に――。











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。