第92話

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2025/12/31 01:00 更新





春の柔らかな日差しが校庭を包む、音駒高校の卒業式の日。





体育館には、卒業生たちの晴れやかな笑顔と、別れを惜しむ涙があふれていた。







式が終わり、黒尾は制服の第二ボタンを外しながら、バレー部の仲間たちと校舎裏に集まっていた。







研磨、夜久、山本、福永、芝山、海、犬岡、山本、そしてマネージャーのあなた――。





みんな、どこか寂しそうで、でも誇らしげな顔をしている。







「……これで、俺たちも卒業か。」







黒尾がぽつりと呟くと、山本が大きな声で応える。








「黒尾さん! 卒業しても、バレーはやめねぇっすよ!」







福永や芝山も、うんうんと頷く。







「黒尾さんがいたから、ここまでやってこれました!」






「ほんと、主将には感謝しかないっす!」







黒尾は照れくさそうに頭をかきながら、みんなの顔を順番に見渡す。






「お前ら……ほんと、最高のチームだったな。」







その隣で、研磨はいつも通り無表情だけど、どこか目が潤んでいる。







「……クロ、主将お疲れさま。」







「おう、研磨。お前がいてくれて、助かったよ。」









黒尾は研磨の肩を軽く叩き、二人は無言で笑い合う。






その時、あなたがそっと一歩前に出た。

彼女の手には、バレー部みんなの写真が入ったアルバムが握られている。







『……みんな、本当にお疲れさまでした。
私、マネージャーとしてみんなのそばにいられて、すごく幸せでした。』








あなたの声は少し震えていた。
黒尾はそんなあなたの肩をそっと抱き寄せる。






「あなたも、ありがとうな。
お前がいなかったら、俺たちここまで来れなかった。」








夜久が、涙をこらえながら笑う。






「あなた、黒尾、卒業おめでとう。
       ……これからも、ずっと仲良くな。」









山本が、鼻をすすりながら叫ぶ。







「黒尾さん、あなたさん、絶対幸せになってくださいよ!」






みんなが笑い、泣き、肩を叩き合う。







黒尾は、みんなの顔をしっかりと見つめてから、ゆっくりと口を開いた。







「音駒バレー部は、俺の誇りだ。
……みんなと一緒に戦えて、本当に楽しかった。
これからはそれぞれの道に進むけど、またどこかで会ったら、バカみたいにバレーの話しようぜ。」










研磨が、ぽつりと呟く。










「……また、ゲームもやろう。」









黒尾はにやりと笑い、あなたの手を握る。

「もちろん。
  ……あなた、これからも俺の隣にいてくれよ。」







あなたは涙をこらえながら、しっかりと頷いた。








『うん。……ずっと、そばにいる。』









桜の花びらが、春風に舞う。
音駒バレー部の仲間たちは、肩を組み、笑い合い、涙を流しながら、最後の記念写真を撮った。









その瞬間、黒尾は心から思った。
――この仲間と過ごした日々は、きっと一生の宝物だ。






そして、隣には、これからも一緒に歩んでいくあなたがいる。






新しい未来へと踏み出すその日、音駒バレー部の絆は、誰よりも強く、温かく、彼らの心に刻まれていた。

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