春の柔らかな日差しが校庭を包む、音駒高校の卒業式の日。
体育館には、卒業生たちの晴れやかな笑顔と、別れを惜しむ涙があふれていた。
式が終わり、黒尾は制服の第二ボタンを外しながら、バレー部の仲間たちと校舎裏に集まっていた。
研磨、夜久、山本、福永、芝山、海、犬岡、山本、そしてマネージャーのあなた――。
みんな、どこか寂しそうで、でも誇らしげな顔をしている。
「……これで、俺たちも卒業か。」
黒尾がぽつりと呟くと、山本が大きな声で応える。
「黒尾さん! 卒業しても、バレーはやめねぇっすよ!」
福永や芝山も、うんうんと頷く。
「黒尾さんがいたから、ここまでやってこれました!」
「ほんと、主将には感謝しかないっす!」
黒尾は照れくさそうに頭をかきながら、みんなの顔を順番に見渡す。
「お前ら……ほんと、最高のチームだったな。」
その隣で、研磨はいつも通り無表情だけど、どこか目が潤んでいる。
「……クロ、主将お疲れさま。」
「おう、研磨。お前がいてくれて、助かったよ。」
黒尾は研磨の肩を軽く叩き、二人は無言で笑い合う。
その時、あなたがそっと一歩前に出た。
彼女の手には、バレー部みんなの写真が入ったアルバムが握られている。
『……みんな、本当にお疲れさまでした。
私、マネージャーとしてみんなのそばにいられて、すごく幸せでした。』
あなたの声は少し震えていた。
黒尾はそんなあなたの肩をそっと抱き寄せる。
「あなたも、ありがとうな。
お前がいなかったら、俺たちここまで来れなかった。」
夜久が、涙をこらえながら笑う。
「あなた、黒尾、卒業おめでとう。
……これからも、ずっと仲良くな。」
山本が、鼻をすすりながら叫ぶ。
「黒尾さん、あなたさん、絶対幸せになってくださいよ!」
みんなが笑い、泣き、肩を叩き合う。
黒尾は、みんなの顔をしっかりと見つめてから、ゆっくりと口を開いた。
「音駒バレー部は、俺の誇りだ。
……みんなと一緒に戦えて、本当に楽しかった。
これからはそれぞれの道に進むけど、またどこかで会ったら、バカみたいにバレーの話しようぜ。」
研磨が、ぽつりと呟く。
「……また、ゲームもやろう。」
黒尾はにやりと笑い、あなたの手を握る。
「もちろん。
……あなた、これからも俺の隣にいてくれよ。」
あなたは涙をこらえながら、しっかりと頷いた。
『うん。……ずっと、そばにいる。』
桜の花びらが、春風に舞う。
音駒バレー部の仲間たちは、肩を組み、笑い合い、涙を流しながら、最後の記念写真を撮った。
その瞬間、黒尾は心から思った。
――この仲間と過ごした日々は、きっと一生の宝物だ。
そして、隣には、これからも一緒に歩んでいくあなたがいる。
新しい未来へと踏み出すその日、音駒バレー部の絆は、誰よりも強く、温かく、彼らの心に刻まれていた。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。