私がひったくりにあい、リアム看守に一目惚れしたあの日……。
ドンッ
私が呼びかけても、周りの人は私や犯人を眺めているだけで何もしない。ヒソヒソと喋る声が耳に入る。ただ周りは私に同情するだけ、それ以上のことはしない。
ああ、世の中はこんなものか。人はこんなにも冷たいのか。泣きそうになりながら私は絶望していた。
ドサッ
周りはザワつきはじめ拍手の音が聞こえてきた。私はパニックになっていたせいか、何が起こっていたのか全く理解できなかった。
目の前に現れた男性が差し出したのは、間違いなく私の物だった。
捕まえた…?この人が?少し混乱しつつも、私は差し出されたカバンを受け取った。
深々と頭を下げ感謝を伝えた。この時、私は彼に惚れてしまったのだろう。
あとから来た男性と会話をしていた。彼の名前はリアムと言うらしい。看守という呼び名から、多分刑務所で働いている人だ。
そんなことを言い、彼はそそくさとその場を立ち去ってしまった。
私もいつか、あんな風になってみたい…。淡い恋心と共に彼に憧れも抱いた。
それから私は看守になるべく努力をし、試験を突破。
面接は怪しかったが何とかクリアし今に至る。
まだ夢なんじゃないかと思ってしまうほど、現実味がない。だが現実は現実だ。どんなに疑おうと事実は揺るがない。
なんて回想をしていると、部屋についたようだ。
部屋に入りベッドに腰掛けた。
これから看守として働くのか〜…なんて考えながら天井を眺める。
感情が昂ったせいか疲れが押し寄せた。少しだけならいいかな?と、私は仮眠をとることにした。


















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。