俺は世界政府の能力特選組の隊長ヤミヨだ
能力特選組とはざっくり言えば、世界政府が持つ軍隊みたいなものだ
世界政府の上層部が許可を出した際にのみ出動できる奥の手だ
業務内容は世間に対する抑止力だったり、実行部じゃ対処出来ないような事が起こった際に出動する
だが、カイトがいる時点で抑止力の役割は取られているので、主に後者の仕事ばかりだ
自分で言うのもあれだが特選組の隊長であり、斬とかに比べると劣るが、世界的に見ても上位に入る強さだと自負している
そして実力や才能にあぐらをかかずに日々訓練を積んでいるが……
今日は別だ
何故なら今日は愛する娘、アリスの一歳の誕生日のプレゼントを買いに家族皆で出かけているからだ
既に俺の手には俺の身長を超える程に荷物が積み上がっていた
リンがあれもこれもと買っていったのが原因だ
深く考えずに財布を出した俺も俺だが
客観的に見たら俺達二人は親バカと呼ばれるものである事は一目瞭然だろう
でも娘は世界一可愛いんだ、仕方がない
今も積み重なったプレゼントがグラグラ揺れて崩れ落ちる寸前だ
リンが支えて落下は免れたが、プレゼントの山は崩壊仕掛けていた
リンも「一回車に戻ろうか」と納得して駐車場に戻る事にした
俺とリンの出会いは世界政府だった
二人とも実行部の新人として配属され、任務をこなしていく内に仲良くなり、そのまま付き合い結婚したわけだ
車に荷物を下ろしながらあの日を思い出す
もう一緒に任務をする事は出来なくなってしまったが、あの時の俺は人生の中でもかなり充実した日々を送っていたと思う
もちろん今も素晴らしい日々を送っているが
そんな中、職業病ともいえるアレが目に入る
せっかくの休みに家族水入らずの買い物に来ているんだ
水を指したくない
そんな俺の思考を読んだかのようにリンは言ってくる
リンに言われてはっとする
そうだ、悪を見逃すなんて俺には出来ない
……いつの間にか俺も甘くなったな
視線を気配がした方に戻す
よし、まだそこら辺をうろちょろしてるな
俺は周りに悟られないように静かに尾行を始めた
ヤミヨを見送ってから一人呟く
後をつけていたらいつの間にか建物の裏側にきた
いつものポーチは……
よし腰にちゃんとある
嘘はついていない
本当に買い物に来ただけだったから
そう言いながら男は殴りかかってくる
俺は男の手首を掴み上げ、そのまま背負投げの要領で投げる
親分と言われた男の手を見れば、いつの間にかナイフが握られていた
男はものすごい速さで突っ込んできた
加速とかの能力かな……
なんて考えながらポーチに手を入れる
ナイフが喉元に迫ったタイミングで、ポーチから手を引き抜く
驚くのも無理もない
瞬きの間に腰の位置にあった手が、胸の上まで移動したのだから
さらに手には
刃渡り20センチ程の赤黒いナイフのようなものが握られていて、自分が放った刺突が防がれているんだ
俺だって同じ状況なら同じ反応をする
またポーチからナイフを取り出して両手でそれぞれ持ち、構えを取る
相手が戦闘に長けていると悟ったのか、男は背を向けて逃げた
俺は壁の僅かな出っ張りを蹴って空に飛び上がる
両手のナイフを回転させながら投げ、男の背中に直撃させる
手加減したから刺さりこそしなかったが、背から血が滲み出る
怒りに滲んだ顔をこちらに向けて来たが、すぐに余裕の笑みを浮かべる
俺がナイフを両方とも投げて丸腰状態になってるのを見て、勝ちを確信したようだ
男は先程同様に刺突を放ってくる
再度ポーチに手を入れる
そしてポーチから出した手には、またナイフが握られていた
驚き怯んだ隙に男の胸に一閃
皮膚が裂け血が溢れる
ナイフについた血を払ってポーチに収める
後で警察に引き渡す為に二人を縛る
ひとまず、平穏は訪れたようだな











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。