第11話

#10能力特選組隊長 ヤミヨ
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2026/01/07 09:00 更新
俺は世界政府の能力特選組の隊長ヤミヨだ
能力特選組とはざっくり言えば、世界政府が持つ軍隊みたいなものだ
世界政府の上層部が許可を出した際にのみ出動できる奥の手だ
業務内容は世間に対する抑止力だったり、実行部じゃ対処出来ないような事が起こった際に出動する
だが、カイトがいる時点で抑止力の役割は取られているので、主に後者の仕事ばかりだ
自分で言うのもあれだが特選組の隊長であり、斬とかに比べると劣るが、世界的に見ても上位に入る強さだと自負している
そして実力や才能にあぐらをかかずに日々訓練を積んでいるが……
今日は別だ
何故なら今日は愛する娘、アリスの一歳の誕生日のプレゼントを買いに家族皆で出かけているからだ
リン
貴方、これなんてどうかしら
ヤミヨ
いいけどこれ以上持てないぞ!
既に俺の手には俺の身長を超える程に荷物が積み上がっていた
リンがあれもこれもと買っていったのが原因だ
深く考えずに財布を出した俺も俺だが
客観的に見たら俺達二人は親バカと呼ばれるものである事は一目瞭然だろう
でも娘は世界一可愛いんだ、仕方がない
ヤミヨ
買う前に荷物を車に置きに行こう
流石に持てん
今も積み重なったプレゼントがグラグラ揺れて崩れ落ちる寸前だ
リン
えー、能力特選組の隊長がそんなんで音を上げるなんて情けなーい
ヤミヨ
それ今関係ないだろ!

やばい落ちる!
リンが支えて落下は免れたが、プレゼントの山は崩壊仕掛けていた
リンも「一回車に戻ろうか」と納得して駐車場に戻る事にした
俺とリンの出会いは世界政府だった
二人とも実行部の新人として配属され、任務をこなしていく内に仲良くなり、そのまま付き合い結婚したわけだ
車に荷物を下ろしながらあの日を思い出す
もう一緒に任務をする事は出来なくなってしまったが、あの時の俺は人生の中でもかなり充実した日々を送っていたと思う
もちろん今も素晴らしい日々を送っているが
そんな中、職業病ともいえるが目に入る
ヤミヨ
なんでこんな日に限って……
リン
あっ、貴方も気づいた?
大丈夫、アリスは私に任せて行ってきなさい
ヤミヨ
しかし……
せっかくの休みに家族水入らずの買い物に来ているんだ
水を指したくない
そんな俺の思考を読んだかのようにリンは言ってくる
リン
私が好きなのは仕事に真っ直ぐな貴方なのよ
悪人を見過ごす貴方じゃない
リンに言われてはっとする
そうだ、悪を見逃すなんて俺には出来ない
……いつの間にか俺も甘くなったな
ヤミヨ
分かった、行ってくる
アリスを頼んだ
視線を気配がした方に戻す
よし、まだそこら辺をうろちょろしてるな
俺は周りに悟られないように静かに尾行を始めた
リン
行ったわね
ヤミヨを見送ってから一人呟く
リン
家族でゆっくり過ごしたいとか思ってたたんでしょうけど、あれを持ってきてるんだし、やっぱりあの人に家庭と仕事の両立は難しそうね
後をつけていたらいつの間にか建物の裏側にきた
いつものポーチは……
よし腰にちゃんとある
チンピラ
親分!本当にやるんですか?
親分
当たり前だ!ここまできたんだ
やらなきゃいつやるんだ!
ヤミヨ
一体何をしようとしてるんだ?
親分
そりゃもちろん今から強盗を……
って誰だお前!?
ヤミヨ
通りすがりの買い物客だよ
嘘はついていない
本当に買い物に来ただけだったから
チンピラ
嘘つくな!お前みたいな鋭くて悪そうな目つきの買い物客がいるか!
そう言いながら男は殴りかかってくる
俺は男の手首を掴み上げ、そのまま背負投げの要領で投げる
ヤミヨ
いや、本当にただの買い物客だったぞ
さっきまで
親分
お前……只者じゃないな……!
親分と言われた男の手を見れば、いつの間にかナイフが握られていた
親分
俺は本気を出すぞ!
首を突っ込まなきゃ死ななかったかもな!
男はものすごい速さで突っ込んできた
加速とかの能力かな……
なんて考えながらポーチに手を入れる
親分
死ね!
ナイフが喉元に迫ったタイミングで、ポーチから手を引き抜く
親分
なっ!
驚くのも無理もない
瞬きの間に腰の位置にあった手が、胸の上まで移動したのだから
さらに手には
親分
なんだそのナイフ!
刃渡り20センチ程の赤黒いナイフのようなものが握られていて、自分が放った刺突が防がれているんだ
俺だって同じ状況なら同じ反応をする
ヤミヨ
ナイフでの勝負か?
悪いが、俺は諸事情あってナイフなんかの扱いは人一倍上手いんだ
またポーチからナイフを取り出して両手でそれぞれ持ち、構えを取る
相手が戦闘に長けていると悟ったのか、男は背を向けて逃げた
ヤミヨ
味方が倒れているのに逃げるとは……
とんだ小悪党だな
俺は壁の僅かな出っ張りを蹴って空に飛び上がる
ヤミヨ
逃がすか!
両手のナイフを回転させながら投げ、男の背中に直撃させる
手加減したから刺さりこそしなかったが、背から血が滲み出る
親分
貴様……よくも……!
怒りに滲んだ顔をこちらに向けて来たが、すぐに余裕の笑みを浮かべる
親分
馬鹿め!武器を2本とも投げるとは
そのポーチのサイズ的に、そのナイフは入っても2本
つまりお前は武器がない!
俺がナイフを両方とも投げて丸腰状態になってるのを見て、勝ちを確信したようだ
親分
死ねぇ!
男は先程同様に刺突を放ってくる
ヤミヨ
甘いな
勝ちは相手を叩きのめしてから確信しろ!
再度ポーチに手を入れる
そしてポーチから出した手には、またナイフが握られていた
親分
!?
ヤミヨ
悪いな、装備品には金かけるタイプなんだ、俺
驚き怯んだ隙に男の胸に一閃
皮膚が裂け血が溢れる
ヤミヨ
安心しろ、このナイフは見た目反して殺傷能力は大して高くない
運悪くてもちょっと貧血になるぐらいだろう
ナイフについた血を払ってポーチに収める
ヤミヨ
ちっ、返り血ついたか
新品だったのに
後で警察に引き渡す為に二人を縛る
ひとまず、平穏は訪れたようだな

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