電話越しに拗ねる声が聞こえて、思わず笑ってしまうとあなたのニックネームちゃんの方からもケラケラと可愛い笑い声が聞こえた。
あの日からちょうど1週間
お互い予定が合わなくて顔を見れてはいないけど、それでも毎日電話で会話している。
本当は直接会いたいし触れたいなんて下心も有るけれどそれは我慢だ。
誰も居ない楽屋の隅っこ、ツーツーと通話の切れる音が響いた。ちらりと見た鏡には口角が上がって幸せそうな顔の俺だけ……
では無くて、メンバー全員が入口で固まって俺を凝視していた。
待て待て待ていつからいたんだ?
全員で食堂行って俺だけパンで済ませたからまだまだ時間はあったはずなのに
ぽかんとしている慎太郎とジェシーにどういう感情か分からん顔の京本。半笑いの髙地にニヤニヤしている樹
やっちまったか、俺
とりあえず何も無い振りをしてみた。が、やっぱり通じなかった
序盤も序盤じゃねーか
てかなんで樹は気利かせて全員外出すとかしないのかね、全員傍聴しちまってんじゃねーか
にやにやしやがってコノヤロウ、、、皆には知らせるつもりなかったのに
恨みを込めて樹を睨めば、楽しそうな顔して京本の肩に腕を回した。
俺の真似をするバカ2人にゲラゲラ笑うバカ2人
無駄な団結力を見せる4人に詰められるようにソファに座らされた。
これは言うまで逃がさないの顔だ。終わった
その瞬間に男子校ばりの歓声が上がり、写真を見せれば鼓膜がいかれるほどでかい声が響いた。
そのあとも会わせる合わせないで揉めまくって、マネージャーに注意という名目で怒鳴られるまで俺たちの言い合いは続いたのだった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。