第13話

会いたい pt3
2,666
2021/04/27 10:44
🐰side


部屋にメンバーが訪ねてくれた。


みんな酷い顔をしていた。


それでも恋人だった俺を気遣ってくれたのだろう。


そして6人で事件の夜の話をした。


あの日は仕事を終えてから俺とジミニヒョンでコンビニへ向かっていた。


仕事で忙しい中で夜中にコンビニに行くのが俺達にとってデートだった。


そしてひと時の幸せだった。


でも2人でコンビニに着くことは無かった。


信号が青く点灯し、1歩踏み出した時
俺は強い光に包まれた。


トラックの光だった。


トラックはドラマのようにスローモーションに見えた。


なのに足はぴくりとも動かなかった。


あぁ、死ぬんだ


と思った時、俺は強く背中を押された。


それがジミニヒョンだと気づくのにそう時間はかからなかった。


俺が次に目を覚ましたのは事件から3日後だったらしい。


目を覚ますと知らない天井が広がっていて
横にはメンバーが泣きそうな顔で座っていた。

いや、泣いていたかもしれない。
ジン
ジン
…ジョングク……!
ユンギ
ユンギ
…良かった……良かった…
ジョングク
ジョングク
……ジミ…ニ……ヒョン…は
喉がやられて上手く声が出せなかった。


それでも「ジミニヒョンは?」と聞き取ったメンバーの顔色がみるみる青ざめていく。


その後メンバーは言葉を選びながら、
ジミニヒョンが亡くなったことを伝えてくれた。


涙は出なかった。


泣いたらジミニヒョンが亡くなったことを認めてるみたいで


それから1週間後には葬式が開かれた。


その日の夜、初めて俺は泣いた。


ジミニヒョンはもういないのだと、心は分かりたくなくても
頭が理解してしまうのだ。


そして俺の世界は白黒になった。


ジミニヒョンのいない世界に色はない。


光はない。


希望などない。



その話をするとメンバーは泣いていた。
テテ
テテ
…あのトラックの運転手はどうなったの?
ジン
ジン
顔は…晒されてるらしい…事務所が叩かないようには言ってるらしいけど……
運転手の不注意でジミンとグクを轢いたから全然収まらないらしい。
ジョングク
ジョングク
そうですか…
何も思わなかった。


運転手が叩かれてることも。


運転手への怒りも。


ただ何でもいいからジミニヒョンを返して欲しい。


だって…貴方に怒りをぶつけようとジミニヒョンは帰ってこないんでしょ?


それなら貴方に価値はない。


酷いことを言ってるような気がする。


でも…もう何でもいい。


だってこの世界に希望も光もないのだから



ーーー


公開した後にミスに気づいて1度相互フォロー限定にしましたが、直しました


このシリーズに限定をつける予定は無いので
限定が着いたら「間違えたんだな」と理解して頂けると幸いです

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