第92話

合宿5日目_夜ご飯
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2026/02/01 09:54 更新
 夜ご飯の時間。


 結果発表が終わって、
 練習ももうない。
大森元貴
大森元貴
今日はゆっくり食べていいよ〜
 顧問の一言で、
 空気が一気に緩む。


 食堂。


 いつもより、
 少し明るい。


 でも──
 胸の奥は、
 まだドキドキしてる。


 トレーを持って、
 席を探していると。
藤澤涼架
藤澤涼架
......あ
 涼架先輩。


 少し慌てた様子で、
 手を上げる。
藤澤涼架
藤澤涼架
......こっち
藤澤涼架
藤澤涼架
......空いてる
 ふわっとした笑顔。
(なまえ)
あなた
......いいんですか?
藤澤涼架
藤澤涼架
......うん
 隣に座る。


 ……近い。
藤澤涼架
藤澤涼架
.......食べれる?
 涼架先輩、
 おかずを見て
 首をかしげる。
藤澤涼架
藤澤涼架
……あ、それ辛いやつだ
(なまえ)
あなた
.......え?
藤澤涼架
藤澤涼架
……前、
辛いの苦手って言ってた
 覚えてた。
藤澤涼架
藤澤涼架
......こっちと交換しよ
 自然すぎて、
 断れない。
(なまえ)
あなた
......ありがとうございます
藤澤涼架
藤澤涼架
......どういたしまして
 ちょっと、
 満足そう。


 もぐもぐ食べながら、
 突然。
若井滉斗
若井滉斗
おーい
 軽い声。
若井滉斗
若井滉斗
やっぱここだと思ったわ
 若井先輩。


 トレーを持ったまま、
 当然みたいに立ってる。
藤澤涼架
藤澤涼架
......え、ここ?
若井滉斗
若井滉斗
いいでしょ?
若井滉斗
若井滉斗
合格者席ってことで
 勝手に座る。
藤澤涼架
藤澤涼架
......若井
 涼架先輩、
 少しだけ困った顔。
藤澤涼架
藤澤涼架
……もう静かに食べたい
若井滉斗
若井滉斗
はいはい
 でも若井先輩、
 あなたの下の名前の方を見て。
若井滉斗
若井滉斗
改めて
若井滉斗
若井滉斗
おめでと
 にっと笑う。
若井滉斗
若井滉斗
名前呼ばれたときの顔、
めっちゃ良かった
(なまえ)
あなた
......そ、そうですか......
若井滉斗
若井滉斗
うん
若井滉斗
若井滉斗
“本気でやってきた人”の顔
 さらっと言うのが、
 刺さる。


 その横で。


 涼架先輩、
 少しだけ前に出る。
藤澤涼架
藤澤涼架
......それ、ぼくも思った
 ぽつり。


 若井先輩、
 一瞬だけ目を丸くして。
若井滉斗
若井滉斗
へー
若井滉斗
若井滉斗
涼架が自分から言うの珍し
 涼架先輩、
 少し照れて。
藤澤涼架
藤澤涼架
......今日は
藤澤涼架
藤澤涼架
……言っても
いい日だと思った
 ……なにそれ。


 若井先輩、
 くすっと笑って。
若井滉斗
若井滉斗
そっか
若井滉斗
若井滉斗
じゃあ俺も言うわ
   あなたの下の名前を見る。
若井滉斗
若井滉斗
これからもっと上手くなるよ
若井滉斗
若井滉斗
2人に挟まれてるんだから
 冗談っぽいけど、
 本気。


 涼架先輩が、
 小さくため息。
藤澤涼架
藤澤涼架
......若井
藤澤涼架
藤澤涼架
......プレッシャー
藤澤涼架
藤澤涼架
かけすぎ
若井滉斗
若井滉斗
えー?
藤澤涼架
藤澤涼架
期待って言って
 でも。


 若井先輩は、
 にやっと笑って立ち上がる。
若井滉斗
若井滉斗
ま、俺はここまで
若井滉斗
若井滉斗
このあと2人の空気、
邪魔すると怒られそうだし
 意味深。
藤澤涼架
藤澤涼架
......若井
藤澤涼架
藤澤涼架
......そういうこと言わなくていい
 涼架先輩、
 耳が赤い。


 若井先輩は、
 それを見て満足そうに──
若井滉斗
若井滉斗
じゃ
若井滉斗
若井滉斗
またな、あなたの下の名前
 軽く手を振って去っていく。


 残った2人。
藤澤涼架
藤澤涼架
......
 涼架先輩、
 少しだけ気まずそうに。
藤澤涼架
藤澤涼架
......ごめん
藤澤涼架
藤澤涼架
……あいつ、調子乗るから
(なまえ)
あなた
.......いえ
(なまえ)
あなた
......でも
 小さく笑う。
(なまえ)
あなた
......嬉しかったです
 そう言うと、
 涼架先輩は
 少しだけ目を伏せて──
藤澤涼架
藤澤涼架
.......それなら
藤澤涼架
藤澤涼架
......よかった
 ふわっと笑う。


 気が抜けた夜。


 ただの夜ご飯。


 なのに。


 3人の関係が、
 少しだけはっきりした時間だった。

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