ぷりっつ視点
貴重な餌を逃さないためにある程度まで走った後、俺はじわじわと足音を殺して鳥に迫る。
獲物の近くに来て分かったが、翼に怪我をしてるのか。どうりで動きが鈍いわけや。
タイミングを狙って俺は獲物を馬乗りにして押さえつける。
多分、悲鳴を上げる獲物側は何が起きたかよく分ってない。
少し遅れてあっきぃが現場に到着する。
腹ペコな割には余計だが、褒めらると気分はアガる。
こいつ、チビのくせに毛の下はモチモチしてるな、旨そう。
勝ち確を感じた俺らはこんな調子でどこが旨そうか呑気に話していた。俺が3本くらい羽を引き抜くと、思わぬ音が獲物の嘴から発せられる。
俺達が思うのも何だが、マジでビビった。
俺によるホールドが外れると彼はジタバタ暴れて抜け出したが、腰を抜かしたせいなのか走って逃げようとすらしない。
悪くない筋肉と脂の割にへなちょこ魔物過ぎんか?
わなわなと泣きながら命乞いする様はかなり滑稽で思わず2匹で顔を見合わせる。
俺達みたいに群れて動けば話は変わるが、こいつは単独。潜れるような深い湖もないこの辺りじゃ普通こんな手負いの魔物が生きるのは無理ゲーだ。
ペラペラ言葉を言える時点で嘘には見えないし、ほんまモンの人間卒業したタイプの輩ようだ。
このタイプの奴は嘗ての同族に虐げられたり、最悪狩られる運命だ。精神的には俺達よりもキツイだろう。
うわ、痛そ。
酷いなぁ、冗談でもいいからそこは俺の肩を持ってくれよ。
普通の魔物だったら、どんなに喚こうが情関係なく今頃食べとるやろうけど、流石にこいつを見捨てて食べるのは正直余りにも可哀想だ。
俺は前脚を高々と掲げる。
魔物図鑑
B級魔獣ライクテュス
ペンギンのようなクチバシに犬のような肉球付きの後ろ足を持つ空と海を狩り場にする中〜小型の怪鳥。一応雑食だが肉類の方が好んで食べる。個体によってはA級並の強さだが、手を出さない限り人間そもそもへの攻撃性が低いので等級はBと定められた。
人に懐きやすく、見た目の可愛さも相まって地域によっては家畜化もされてるが、食用としての運用よりも移動の脚としての活躍が多い。
因みに"にょ"はちぐさの口癖というより、種そのものとしての鳴き声である。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。