テレビ局の廊下で、俺はたまたま通りかかったしょっぴーを捕まえて、スマホの画面を突きつけた。
最近見つけた、今度、行きたいなと思っていた焼肉屋の動画や。
テンションが上がった俺は、いつもの癖でしょっぴーの肩に腕を回し、顔を近づけてキャッキャと笑いかけた。
しょっぴーは「近い、暑苦しいわ!」なんて言いながらも、顔をクシャッとさせて笑っている。
その時、背後から。コツ、コツ、と、やけに重たい足音が近づいてくるのに気づいた。
同時に、ゾクッと背筋が凍るような、冷たい視線が肌を刺す。
低くて、少し低音の響きが強い声。
振り返ると、そこにはポケットに両手を入れたまま、眉間にうっすらとシワを寄せためめが立っていた。
いつもなら俺を見つけると、ふにゃっと犬みたいに目を細めて笑うのに、今の目は完全に『笑っていない』。
めめは俺の言葉を遮り、しょっぴーに真っ直ぐな視線を送った。
その瞳の奥にある無言の圧力を、鋭敏なしょっぴーが察知しないわけがない。
しょっぴーは「俺、何も悪くないからな?」と言いたげな顔で俺と目黒を交互に見た後、そそくさとその場を立ち去ってしまった。
置いていかんといてや、しょっぴー!廊下に残されたのは、俺とめめの2人だけ。
めめは無言のまま、俺の腕をガシッと掴んだ。大きな手のひらの体温が、衣装の上からでも熱いくらいに伝わってくる。
有無を言わせない力で引っ張られ、俺たちは誰もいない資材置き場の陰へと連れ込まれた。
壁に背中がトン、と当たると同時に、めめの大きな体が目の前を塞ぐ。
完全に逃げ道を塞がれた形や。
めめはふっと息を漏らすと、俺の肩にぽんと顎を乗せて、俺の体を包み込むようにぎゅっと抱きしめてきた。
耳元で聞こえる低い呼吸音が、鼓膜を甘く震わせる。
めめの大きな手が、俺の背中を愛おしそうにゆっくりと撫でる。
ぼそっと、耳元で呟かれた本音。
あかん、かっこよすぎる。
ただ怒るんじゃなくて、俺の性格をちゃんと理解して許容してくれた上で、「それでも妬いちゃう」なんて、少し不器用そうに白白と言われたら、愛おしくてたまらんくなってまう。
俺が降伏して、めめの広い背中に腕を回してポンポンと叩くと、肩に乗っていためめの顔がゆっくりと上がった。
さっきまでの少し切なそうな顔はどこへやら、満足げな、ちょっと意地悪な笑みを浮かべている。
やっぱり、この男には敵わん。
真っ赤になった俺の額に、めめは優しくキスを落とした。
ヤキモチの特効薬は、いつだって俺の甘い言葉だけみたいや。














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。