第88話

Flower84 【向井①】
682
2021/03/30 00:02
康二 side

レコーディングを終えて、俺はめめとラウールといた。
ラウール
ラウール
意外と早く終わったね
向井康二
向井康二
そうやな。
まだ時間も早いし、飯でも食わへん?
ラウール
ラウール
いいね(^O^)/何食べる?
向井康二
向井康二
そうやな・・・めめは?
目黒蓮
目黒蓮
う〜ん。こーじの家でタコパ、とか?
なんとなく心ここに在らずの返答だったけど、あえて何も触れなかった。
ラウール
ラウール
タコパいいかも(*´꒳`*)
たこ焼き美味しいよね
向井康二
向井康二
そやな。

じゃあ、材料買って家行くか?
ラウール
ラウール
うん╰(*´︶`*)╯♡
俺とラウールの後ろをついてくるめめは、買い物の最中もただ居るだけで特別口を挟まなかった。

・・・とはいえ、本人にどう問うのが正しいのか分からず、ラウールに問いかけてみた。
向井康二
向井康二
なあ、ラウール?
ラウール
ラウール
なあに?こーじくん
向井康二
向井康二
めめ、どないしたん?
ラウール
ラウール
なんで?
向井康二
向井康二
スタジオ出てから、ほとんど何も喋らへんから
ラウール
ラウール
そう、かな?
いつもとそんなに変わらない気がするけど。
向井康二
向井康二
そないなこと、ないと思うんやけど
ラウール
ラウール
そんなに気になるなら、聞いてみたらいいんじゃない?(*'▽'*)
ラウールは悪びれもなくそう口にする。

出来へんから、ラウールに聞いとるのに´д` ;

そんな俺たちの会話を知らないめめが、ふいに声をかけてきた。
目黒蓮
目黒蓮
あっ、ごめん、ちょっと電話行ってくる
向井康二
向井康二
おう
入り口へと向かうめめの後ろ姿を見ていると、ラウールが口を開いた。
ラウール
ラウール
めめに何かあったとすれば、あの日じゃないかと思うよ。
向井康二
向井康二
あの日?
ラウール
ラウール
そう。こーじくんに写真撮ってもらったじゃない?
あの日から、めめ、時々1人で考え事してるから。
向井康二
向井康二
考え事?
ラウール
ラウール
うん。
でも何か思い詰めてるって言うよりは、幸せそうに笑ってるけど。
何かいいことがあったのかな?ってずっと思ってたんだ。
向井康二
向井康二
写真か・・・。
思い当たる節があるような・・・ないような・・・。

ただ、ラウールの撮影を見て「俺も撮ってほしい」と言った時も。
撮影中に見せた表情も。
確かにいつもと違って見えた。
ラウール
ラウール
こーじくん?
向井康二
向井康二
うん?
ラウール
ラウール
どうかした?
向井康二
向井康二
えっ?いや、めめにあったいい事ってなんか気になるやん
ラウール
ラウール
だから、直接聞けばいいのに。
めめなら教えてくれるよ、きっと。



好奇心に負けて、タコパ中に俺とラウールはめめに質問する。

それは俺たちの予想を反する返答だった。


家についてタコパの準備をして、3人でテーブルを囲む。
ラウール
ラウール
家にたこ焼き器があるって超便利だね٩((灬∀灬))۶エヘッ*+
向井康二
向井康二
俺の家には昔からあったから、あんまり違和感もあらへんけど。
ラウール
ラウール
僕も買おうかな?
出来上がったたこ焼きを皿にとり、食べ始めてしばらくして・・・。
口火を切ったのは、ラウールだった。
ラウール
ラウール
ねえ、めめ?
目黒蓮
目黒蓮
うん?どうした?
ラウール
ラウール
あのさ、ずっと気になってたことがあって聞いてもいい?
目黒蓮
目黒蓮
気になってたこと?
ラウール
ラウール
うん。
この前、こーじくんに写真、撮ってもらった日にさ。
なんかあった?
目黒蓮
目黒蓮
なんかって?
ラウール
ラウール
いい事とかあったのかな?って思ったから。
目黒蓮
目黒蓮
なんでそう思うの?
ラウール
ラウール
あれから、考え事してるとこ結構見かけるけど。
なんか楽しそうだから٩(ˊᗜˋ*)و
なんの躊躇(ちゅうちょ)もなく、話を切り出せるラウールが俺にしたら、ただただすごい奴に見えた。
向井康二
向井康二
(今時の高校生はそういうところ、気にならへんのかな?)
目黒蓮
目黒蓮
そんなに考え事してたかな?
そんなつもりはさらさらなかったんだけど(^◇^;)
無自覚にやってるあたり、めめだと思うf^_^;
ラウール
ラウール
それで、実際のところどうなの?(¬_¬)
めめは箸を置いて、ゆっくりと話し始めた。
目黒蓮
目黒蓮
俺、前にラウと買い物に行った時に電車の事故があって待ち合わせに遅れたことがあっただろ?
ラウール
ラウール
あっ、渋谷で待ち合わせた時だよね。
目黒蓮
目黒蓮
そう。あの日、ラウに「誰か探してるのか?」って聞かれたじゃん。
ラウール
ラウール
電車に一緒に乗り合わせてたって子だよね。
謝りたい、って。
目黒蓮
目黒蓮
そうそう。
電車が動き出すまでの間に失礼なことをしちゃって・・・そのことを謝りたかった。

でも、結局会えないでずっと過ごしてきてさ。

ーーーーーーあの日・・・再会出来たんだよ
ラウール
ラウール
再会?
目黒蓮
目黒蓮
そう。
向井康二
向井康二
それが、もしかして・・・
目黒蓮
目黒蓮
そう・・・あなたの名字さん(*˘︶˘*)

あの写真撮影中、その話をしたら、彼女も覚えててくれて。
めめの表情はいつになく明るくて、幸せそうで。
それはずっとそばで、めめを見ていた俺ならわかる変化だった。
向井康二
向井康二
めめ
目黒蓮
目黒蓮
うん?
向井康二
向井康二
彼女のこと、好きなん?
ラウール
ラウール
Σ(゚Д゚lll)エッ!?
俺の問いに返答したのは、ラウールで。
めめは静かにそれを見つめていた。
ラウール
ラウール
こーじくん、なんでそう思うの?
カメラ越しに見ためめの表情が、ずっと気になってた。
レンズ越しだからこそ感じ得るものがあることを俺は知ってる。
メンバーたちと一緒に撮るめめの表情とは明らかに違っていたから。


カバンから取り出した、めめとあなたの名字さんの写真をテーブルに並べてみせ、俺は続けた。
向井康二
向井康二
前に雑誌の特集で彼女相手の写真撮ったやろ。
あの時と同じ表情しとる。

愛おしい彼女を見る目や。
目黒蓮
目黒蓮
こーじ・・・
向井康二
向井康二
俺の目は誤魔化されへんで。
目黒蓮
目黒蓮
変な自信だね、こーじ
向井康二
向井康二
だてに、カメラ握ってへんて。
そういうとこ、ピンとくるんや。
目黒蓮
目黒蓮
・・・降参。
負けたよ、こーじにはσ^_^;


好きか嫌いかって言われれば、好きだと思う。
けど、これが恋かって聞かれたら、わかんない。

あの日一度だけだからね。
きちんと話したのだって。

だから、今はまだ、その程度、の思いだよ。
こういうところが、やっぱりめめなんやと思う。

いつか確信に変わる思いでも、現状で確信が持てない以上不確かなことは絶対言わない。

こういうときこそ、認めてしまえば楽やのに・・・。

写真を見つめる俺とめめの隣で、怖い顔をしているラウール。
向井康二
向井康二
どないしたん?
ラウール
ラウール
めめがあなたの名字さんを好きとか知らなかったんだけど(ーー;)

どういうこと?めめ!!
目黒蓮
目黒蓮
いや、ラウどころか、誰にも言ってないから、俺( ̄Д ̄)ノ
ラウール
ラウール
そう言うことじゃなくて(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾

いくら、めめでもあなたの下の名前ちゃんは譲らないからね!!
目黒蓮
目黒蓮
まだ、ラウのものじゃないでしょ
ラウール
ラウール
絶対ダメ!!(>人<;)
ラウールのテンションが予想以上に上がってしまった現状に俺は慌てて話を止めた。
向井康二
向井康二
ラウール、そろそろ帰らへんか?
俺が駅まで送ったるから。
ラウール
ラウール
こーじくん、僕まだ話が終わっていないよ(●︎`^´●︎)プンっっ
向井康二
向井康二
ラウールは明日も学校やろ。
明日に響いたら大変やで。

めめにはいつでも会えるんやし、また次回ってことで。
畳みかけるように、準備をして、ラウールを連れて部屋を出ようとすると、めめが俺に問いかけてきた。
目黒蓮
目黒蓮
こーじ、俺は?
向井康二
向井康二
めめはもうちょい俺に付き合ってや。
すぐ帰ってくるから。
そう言って、家の扉を閉めた。


俺がラウールを駅まで送り届けて自宅に戻ったのは、それから15分程してからだった。

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