バタバタと屋敷内を走り回る音 。
誰かの悲鳴 、 使用人が地下へ降りてくる音 、
私の部屋を開ける音 。
全てが同時に起こっていて 、 耳がうるさくて
仕方がない日だ 、
妙な胸騒ぎがした 。
部屋を飛び出さずには居られなかった 。
騒ぎは村の社の前と見た 、 私の部屋の上 、
つまり地上の場所には丁度そこに繋がる道が
ある 。
その上を通ったということはつまりそういう事 。
頭が悪いながらよく考えたね 私 。
少し走って思い出した 。
私は走るのが最高に遅くて 、 運動不足の
所為で走ると秒で呼吸が乱れることを 。
こういう時に彼が居れば私を担いで走って
くれるのに 。
誰かが刀で腹を刺されて壁に吊られていた 。
その人物は身体から真っ赤な血を滴らせて 、
地を紅く染めて行った 。
もう少し近付いた時にやっと気付いた 、
知りたくなかった 、 知るべきじゃなかった 、
なんで 、 貴方が其処に居るの ?
どうして 、 どうしてっ ... !!!
壁から降ろされている彼を見て 、
私はすぐ様そこに駆け寄った 、
血塗れで 、 意識の無い彼の元に 。
どうして私を置いて行くのだろうか 、
一緒に逃げるんじゃなかったの ? ねぇ 、
ねぇ 、 名も知らない貴方 ... 目を 、
近づいてくる 、 嫌な足音がした 。
乙米姉サンが不気味に口角を上げる 、
何を言い出すのだろうか 、
当の私にはもうどうでもよかった 、 彼が
死んだのだから 、
どうしてこの女がその事を ?
ていうか駆け落ちって 、 そんな大層な話し
じゃなかったはず 、
やめて 、 そんなこと私が1番分かってる 。
すぐ断れない自分は外に出たい願いの具現化 、
気付かなかった自分は希望を持った思いの具現化 、
無理なことくらい 、 そのくらい知っていた 、
なのに ...
なのに ...
ごめんなさい 、 ゴメンなさい 、
ゴメンナサイ 、 御免なさい ...
何回言っても足りない 、 だってもう貴方
にこの声が届くことは無いのだから 。
短かったかもしれないですっ 、
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。