第5話

: 瞬キ 参ツ目 .
338
2024/05/18 07:57








 バタバタと屋敷内を走り回る音 。

 誰かの悲鳴 、 使用人が地下へ降りてくる音 、
 私の部屋を開ける音 。 
 全てが同時に起こっていて 、 耳がうるさくて
 仕方がない日だ 、 




誰か 。
 あなた様 ! お怪我等はありませんか !? 
あなた
 無い 、 ですけど 、 何かあったんですか ? 
誰か 。
 あっ 、 それがっ 、 その ...  






 妙な胸騒ぎがした 。 

 部屋を飛び出さずには居られなかった 。
 騒ぎは村の社の前と見た 、 私の部屋の上 、
 つまり地上の場所には丁度そこに繋がる道が
 ある 。

 その上を通ったということはつまりそういう事 。


 頭が悪いながらよく考えたね 私 。 







 少し走って思い出した 。 
 私は走るのが最高に遅くて 、 運動不足の
 所為で走ると秒で呼吸が乱れることを 。 
 こういう時に彼が居れば私を担いで走って
 くれるのに 。 










あなた
 はぁっ 、 はっ 、 ... 






 誰かが刀で腹を刺されて壁に吊られていた 。
 その人物は身体から真っ赤な血を滴らせて 、
 地を紅く染めて行った 。


 もう少し近付いた時にやっと気付いた 、






あなた
 ____ ッ !!! 
あなた
 っ うぁ 、 










 知りたくなかった 、 知るべきじゃなかった 、


 なんで 、 貴方が其処に居るの ? 
 どうして 、 どうしてっ ... !!!




 壁から降ろされている彼を見て 、 
 私はすぐ様そこに駆け寄った 、 
 血塗れで 、 意識の無い彼の元に 。

 


 どうして私を置いて行くのだろうか 、 
 一緒に逃げるんじゃなかったの ? ねぇ 、

 
 ねぇ 、 名も知らない貴方 ... 目を 、






あなた
 目を 、 開けてよ ... 



























 近づいてくる 、 嫌な足音がした 。






乙米姉サン .
 あら 、 誰かと思えばあなたじゃない 、 
乙米姉サン .
 こんな所で何をしてるの ? ネズミでも出たのかしら 。 
乙米姉サン .
 それとも 、 



 乙米姉サンが不気味に口角を上げる 、
 何を言い出すのだろうか 、

 当の私にはもうどうでもよかった 、 彼が
 死んだのだから 、  









乙米姉サン .
 駆け落ちの約束でもしてた男が死んだの ? 





あなた
 ... は ? 


 どうしてこの女乙米姉サンがその事を ?


 ていうか駆け落ちって 、 そんな大層な話し
 じゃなかったはず 、 



乙米姉サン .
 だから行くのを辞めなさいと忠告したのに 、 あの男は 。 
乙米姉サン .
 殺されても仕方の無い事をしたのよ彼奴は 。 
乙米姉サン .
 そして 、 彼奴が死んだのは貴方の所為でもあるのよ 。 あなた



あなた
 私の 、 所為 ... ? 


乙米姉サン .
 そう 、 全部はお前の所為だよ 。 お前が少しでも此処を出たいと願ったから 、 
乙米姉サン .
 彼奴の誘いをすぐに断らなかったから 、 
乙米姉サン .
 それを誰かに聞かれている事に気付かなかったから 、 
あなた
 っ 、 あ 、 



 やめて 、 そんなこと私が1番分かってる 。


 すぐ断れない自分は外に出たい願いの具現化 、
 気付かなかった自分は希望を持った思いの具現化 、



 無理なことくらい 、 そのくらい知っていた 、
 なのに ...


 なのに ... 
あなた
 望んでしまって 、 ごめんなさい ... 









乙米姉サン .
 ふふふ 、 あはははっ ! 所詮男無しで生きていけないお前が逃げようとするからだよ !! 
乙米姉サン .
 長田 ! 居るんでしょう ? この子を四日間牢へ閉じ込めて置きなさい ! 
長田 .
 はい 、 奥様 。 























 ごめんなさい 、 ゴメンなさい 、 
 ゴメンナサイ 、 御免なさい ...  




 何回言っても足りない 、 だってもう貴方
 にこの声が届くことは無いのだから 。






 

















あなた
 さようなら 、 名も知らない貴方 。



































 短かったかもしれないですっ 、 

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