第12話

夕食
45
2021/08/27 09:00 更新
家に着いた後、先生は夕食の買い出しに出かけた。家には、子規さんと俺だけだった。
北川俊
…子規さん、先生は何故小説を書かなくなったんですか?
正岡子規
…………さぁな…僕にもそれは分からない…ただ一つだけ言う事が出来るのは、『書かなくなった、ではなく、書けなくなった』というのが正しいだろうな
北川俊
…そうですか…では、先生は何で生活費を稼いでいるのですか?
正岡子規
ここに来てすぐの時に書いていた本の印税や、生前出版した本の印税とかだろうな
北川俊
先生は何故、俺を弟子にしたんですかね…?
正岡子規
それは……
夏目漱石
ただいま、今晩はすき焼きですよ
夏目先生が帰ってきたので、この話は終わってしまった。子規さんが話そうとしていた事が凄く気になったが、聞く勇気が出なかった。
夏目漱石
さぁ、召し上がれ
正岡子規
いただきます!!
夏目漱石
こら!正岡!肉ばっか取って、皆の分も考えて食べてくれ!
正岡子規
早いもん勝ちだろ?こうしている間に消えてくぞ~
北川俊
ちょっ、子規さん食べるの早い…!スピード落として!
正岡子規
皆な遅いな~って…あっ!夏目!人皿から肉を取るなよ!
夏目漱石
言っておくが、私の金で買っているのだよ?!取られても可笑しくは無いだろう?
正岡子規
なっ!?
北川俊
ちょっと?!お二人ともストップ!!喧嘩は止めて!
なんとか俺が抑えて喧嘩を阻止したが、喧嘩の理由が大人気ないなと思った。
今日は子規さんが皿を洗っていた。夏目先生に何か言われたのだろう。先生と俺が部屋でくつろいでいたら夏目先生が話しかけてきた。
夏目漱石
明後日、龍之介君が来るね、どうだい?納得いくものが書けそうかい?
北川俊
自信は無いですけど、良い物にはなるかな~と
夏目漱石
ならよかった。…すまないね、弟子をとるといって、全く教えて上げられなくて…
北川俊
…!いえ!ここに住まわして貰えるだけで十分ですし、それに色んな人にも出会えただけでも満足ですよ!
夏目漱石
君は優しい人ですね、顔とは似つかない程…
北川俊
あぁ……そうですね…
夏目漱石
気分を害してしまったようなら、すまない
北川俊
いえ…気にしてませんから…

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